弘法大師への奉納酒仕込み開始 大七酒造、高野山の沢水注ぐ儀式

 
飛鷹師が真言を唱え、沢水に知恵と慈悲を込めた注水の儀

 大七酒造は1月31日、二本松市の同酒蔵で、真言宗の開祖空海(弘法大師)に供えられる純米大吟醸のもろみに、霊場・高野山(和歌山県高野町)の奥の院を流れる沢水を加える「注水の儀」を行った。

 大師に酒を供える役目の高野山別格本山三宝院が二本松藩丹羽家の菩提(ぼだい)寺という縁で、2015(平成27)年に同山開創1200年記念大法会で奉納する記念酒を醸造してから毎年、奉納酒を仕込んでいる。

 同院の僧侶が来て祈祷(きとう)するのは2年ぶり。同院住職の飛鷹全隆師が真言宗総本山教王護国寺(東寺、京都市)の住職に当たる「長者」に就いてから初めて儀式を執り行った。飛鷹師は真言を唱え、1月19日の取水の儀で奥の院の聖域からくまれた沢水を清めた。この後、同蔵元杜氏(とうじ)の佐藤孝信さんが沢水を2千リットルの仕込みタンクに注ぎ入れた。

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 飛鷹師は今年が真言宗立教開宗1200年と弘法大師生誕1250年の節目であることを紹介し「注水の儀を実現できてうれしく思う」と述べた。太田英晴社長は「きょうが仕込みの始まり。おいしい酒ができると思う」と話した。

 同酒蔵によると、沢水が注水された酒は720ミリリットル換算で2千本程度できるという。瓶詰めされた後4年ほど低温熟成され、高野山の壇上伽藍中心部にある「御影堂」に奉納される。また生純米大吟醸雫原酒「玉依御前 亀鏡」として一般にも販売される。