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【2008.1.4】
大尽屋敷跡(葛尾村)//豪壮を極めた邸宅構造//
松本允秀さん
松本允秀さん
◆交流人口増の契機
  葛尾村は「かつらお大尽屋敷跡公園」を中心とした観光交流事業の展開を検討している。村長の松本允秀さん(70)は「製鉄の歴史を知る上で価値があり、池の石垣も当時の素晴らしい技術を確認できる」と歴史的価値に着目している。
 史跡内には、江戸期に能狂言を行ったといわれる舞台跡などもあり、イベントでの活用も十分可能。松本さんは「交流人口を増やす契機としたい。大勢の方に見てもらいたい」と村の「宝」をPRしている。
大尽屋敷跡 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

松本氏の栄華をしのばせる「大尽屋敷跡」。公園として整備されるなど大切に保存されている。 ■葛尾村役場から国道399号を北上し、車で約10分。案内板などがある

  大尽屋敷跡は中世から11代にわたり製鉄や山林伐採、塩、酒造、養蚕などの経営で栄華を誇った松本家の邸宅跡。建物は1871(明治4)年と1933(昭和8)年の火災で焼失したが、約2ヘクタールの敷地内には石垣、近江八景をかたどった池、磨崖仏(まがいぶつ)、京桜、本宅跡の礎石などがあり、往時をしのばせている。
 松本氏の祖先は左大臣藤原魚名の末えいで、信州葛尾城主の系譜。領地を他領主に追われ、現在の葛尾村に移ったが、6代目好倉が生糸や製鉄業などで巨大な富を築き、「葛尾大尽」と呼ばれるようになった。
 最盛期の江戸中期には三春、相馬、棚倉の各藩に大金を献上するとともに、多額の金を貸し付けて藩財政の一部に介入、商売の独占権を得ていたといわれている。
 史跡の保存整備、観光資源化は長く村の課題だったが、2005(平成17)年度に文化財試掘調査や用地買収などを実施。06年度に周辺道路などを含む公園化整備工事、文化財発掘調査を行い07年3月、「かつらお大尽屋敷跡公園」として完成した。
 同公園では、発掘調査で新たに発見された48棟あったと伝えられる蔵の基礎石や、近江八景庭園跡の全景、京桜、磨崖仏などが公開されている。訪れた観光客らは四季折々の草木に囲まれた園内を散策しながら、大きな財力で豪壮を極めた邸宅の構造、村史とのかかわりなどについて理解を深めている。
 

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