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【2008.01.18】
天神原遺跡(楢葉町)//東日本最大級の集団墓//
宇佐美雅夫さん
宇佐美雅夫さん
先人の営みを継承
  「古代から現代までの人の営みが連綿と感じられる。歴史に触れて、体を動かす地域の憩いの場所」と楢葉町歴史資料館の宇佐見雅夫さん(52)。先人の営みを次代に継承するため日々、検証作業に励んでいる。
 遺跡周辺からは中世の城跡、明治時代に移築された神社もある。「人々にとって過ごしやすい土地だった」と分析する宇佐見さん。遺構は、コンクリートで土坑と土器棺が表現され調査を記念した石碑が建つ。
天神原遺跡 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

東日本最大級の集団墓地跡の天神原遺跡。出土品は国重要文化財に指定されている 楢葉町役場から東に約3キロ、JR常磐線竜田駅から車で約5分

  弥生時代中期後半(約2000年前)の集団墓。天神岬スポーツ公園建設に伴って1979(昭和54)年夏に発掘調査が行われ、土器棺墓24基、土坑墓47基が出土した。以前に見つかっていたものも含めると総数は土器棺墓33基、土坑墓49基に上る。同時期としては東日本最大級の遺跡。
 同遺跡は太平洋岸に面した台地の突端に位置。東側は太平洋に浸食された高さ約40メートルのがけとなっており、南側は木戸川が流れる。
 発見された土器棺墓と土坑墓は、東西85メートル、南北18メートルの範囲から出た。土坑は長楕円(だえん)形で長さ約2メートル、幅約0.8メートル。大きさと形などから葬られたのは成人で身体を伸ばして埋められたと考えられている。
 土器棺は棺の上部に別の土器の胴部を輪切りにしてふたにしたものが多く出土。子どもが埋葬されたとみられる。特徴から「合蓋(あわせぶた)土器棺」と呼ばれ、文様も多種多様なことから「天神原式」として位置付けられている。
 土坑の一部に勾玉(まがたま)などが副葬されており、特別な地位の人物が葬られたと考えられている。集落跡は見つかっていないが、集落から離れた場所に墓地を選定したらしい。地形を生かし、川沿いの平地で稲作を営み、海と川からの恵みも受けて暮らしていた足跡がうかがい知れる。
 遺跡は県指定史跡として保存され、出土品は一括して国指定重要文化財となっている。
 

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