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【2008.2.14】
上川崎和紙(二本松市)//平安の女流作家も愛用//
佐藤旭さん
佐藤旭さん
◆高い作業性が特徴
  県重要無形文化財に指定され、いにしえから受け継がれた貴重な工芸技術の継承が課題になっている。二本松市和紙伝承館では、佐藤旭さん(72)と遠藤哲也さん(35)の2人の紙すき職人が技術の継承に尽くしている。同館は新年度、体験教室を拡充し、上川崎和紙の発信に努める。
 上川崎和紙生産保存会副会長でもある佐藤さんは「上川崎和紙は、日常品としても作業性が良い特徴がある。多くの方にその良さを理解してもらいたい」と話す。
上川崎和紙 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

平安の女流作家から愛されたとされ、1000年以上の歴史を誇る上川崎和紙 東北道二本松ICから北東に車で約15分、JR安達駅から車で約5分

  二本松市上川崎地区で伝承されてきた和紙生産の技法は、平安時代に「みちのく紙」として、紫式部や清少納言ら当時の女流作家が愛したともいわれ、1000年以上の歴史を誇る。二本松藩丹羽家が産業振興のため紙すきを許可制にして奨励、基礎を築いた。
 明治から大正にかけては、地区内の約350戸が紙すきに携わり、ほとんどの世帯が紙すきを行っていた。しかし戦後、生活様式の変化などで洋紙に取って代わられ、和紙の需要は激減した。上川崎地区でも昭和30年代ごろから生産者が減少し始め、今では3戸になった。
 上川崎和紙は、クワ科の「コウゾ」と、アオイ科の「トトロアオイ」で生産する。コウゾの樹皮を蒸したりした後、たたきつぶして細かい繊維にする。トトロアオイは根をつぶして粘液を絞り出し、コウゾの繊維をつなぎ合わせる「ネリ」にする。この2つを「すき舟」といわれる作業場で、水と合わせて「流しすき」により和紙を作り上げる。
 作業はほとんどの工程が手作業。このためコウゾの繊維が長く、丈夫な紙が出来上がるという。この強さが墨の微妙な色合いに影響し、書道家らからの人気の秘密になっている。
 国道4号上り線沿いの道の駅安達内にある二本松市和紙伝承館が、上川崎和紙継承の拠点で、原料の生産から和紙の生産・販売、商品開発までを担う。体験教室などの実施にも力を入れており、伝統の技継承に努めている。
 

福島民友新聞社
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