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吉野高光さん |
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◆色鮮やかで躍動感 |
清戸〓横穴は郷土の貴重な文化財として、双葉町教育委員会が大切に保存、管理している。壁画は、同町体育館のステージ幕のデザインに利用されるなど、町のシンボルとしても長年、町民から親しまれている。
同町歴史民俗資料館の専門学芸員吉野高光さん(47)は「壁画は色鮮やかに残っており、動きのある図柄が特徴。劣化を防ぐため公開日を制限しているが、躍動感ある壁画は国内ではほかに見あたらず、公開日には大勢の人に見てほしい」と話す。 |
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双葉町のシンボルでもある清戸〓横穴の壁画 |
■双葉町役場から西に車で5分程度。JR双葉駅からは南に徒歩で約20分 |
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双葉町新山字清戸〓(さく)地区にある300基を超える大横穴墓群の中の1つで、1967(昭和42)年9月から始まった双葉南小学校の移転新築に伴う敷地造成工事の際に発見された。横穴墓群の発掘調査が行われていた同年11月3日、76号横穴墓の奥壁から赤色顔料・ベンガラで描かれた人物、渦巻文、シカ、犬、イノシシなどが出土した。
装飾横穴墓の製作年代は7世紀前半と考えられており、学術的にも重要であることから68年5月に国の史跡に指定された。壁画正面の中央には、幅約5センチで左に7回りする渦巻文が描かれているが、この渦巻文につながっている人物は高さ74センチで、国内の人物壁画に描かれた人物としては最大級のものとして知られている。
壁画については、中央の人物を墓主とするのは大方の見解だが、左端の人物を夫人とする説、中央の人物の肩にかかる渦巻文は霊を導く霊妙なものとする説、狩猟図や4人の人物像は大きさによって被葬者の一代記を表現したとする説など、発見当初から研究者がさまざまな意見、説を述べている。しかし、いずれの説も明確ではなく、謎に包まれている部分が多い。
一般公開日は年4回で、4、5、7、10月の第2日曜日。時間は午前9時から午後3時までで毎回、町内外から大勢の見学者が訪れている。
詳しい問い合わせなどは、双葉町歴史民俗資料館(電話0240(33)4763)へ。
※〓は「廴」と「白」の合わせ字 |
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