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【2008.2.26】
三島の三月節供と雛流し(三島町)//春の到来告げる風物詩//
横田源一さん
横田源一さん
今後の継承が課題
  高清水地区の三月節供と雛流しは、昭和40年代に一時途絶えたが1990(平成2)年、地元住民の熱意で復活した。
 高清水区長の横田源一さん(70)は「昔ながらの伝統を受け継ぐ三月節供、雛流しは、地元住民の熱意に支えられ、今は遠方から見学に訪れる人も多い」と笑顔で話す。また「地元の子どもが少なくなり、どのように継承していくかが課題。この地方の誇りであり、皆さんに協力いただき、守っていきたい」と力を込める。
三島の三月節供と雛流し 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

紙雛を只見川に流し、家内安全を祈る地元住民たち(三島町宮下の只見川と大谷川合流点) 磐越道会津坂下ICから西へ車で約20分、JR只見線会津宮下駅から徒歩15分

  三島町の年中行事で1986(昭和61)年3月、県重要無形民俗文化財に指定された。毎年3月2日から4日に行われる同町高清水地区の「三月節供(せっく)雛流し」は99年に同文化財に追加指定された。現在は、地元18世帯が受け継ぐ。雪深い奥会津に、待ち遠しい春の到来を告げる風物詩。
 3月2日の「宵節供」は千代紙や生紙、綿、糸などを使って各戸の女性たちが「紙雛(かみびな)」を作る。日本髪に和装の紙雛は約30センチほどの大きさで、デザインはそれぞれ作り手の個性に委ねられる。ヨモギを入れたひしもちの上に飾られた紙雛は、素朴な中にも見る人にいとおしさを感じさせる魅力にあふれる。紙雛は、各世帯の女性の人数分と同地区からほかの地域に嫁いだ女性の人数分を作るのが古くからの習わし。
 4日は、近くを流れる只見川で「雛流し」が行われる。地元で最年長の小学生の男子を先頭に、女子たちが行列をつくって集落内全戸を巡り、箱に紙雛を集める。男子が、たくさんの紙雛が入った箱を只見川まで運び、箱ごと静かに川に放って流す。家族の災いを紙雛に移して流すことで家内安全を祈願する。雪が残る川のほとりで、次第に遠ざかる紙雛を見送りながら、静かに手を合わせて祈る地元住民らの姿は、只見川とともに生きてきた奥会津の人々の歴史をしのばせる。
 ここ数年、地元の子どもが少なくなり、雛流しの伝統の担い手不足が深刻な課題となっている。
 

福島民友新聞社
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