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【2008.2.27】
熊川稚児鹿舞(大熊町)//凶作、疫病に襲われ奉納//
宮本明さん
宮本明さん
◆次世代へ受け継ぐ
  先人からの伝統文化は次世代へと大切に受け継がれている。稚児鹿舞保存会長の宮本明さん(57)は少年期に舞方を務めた。「大勢の同級生の中から4人の舞方の1人に選ばれた時は幸せだった」と振り返る。
 父、長男とともに親子3代で鹿舞に携わった宮本さんは昨年、大熊中で鹿舞の由来や伝承への課題などについて講演した。宮本さんから鹿舞の作法などを教わった子どもたちがやがて教える側となり、自分の子どもや孫に伝えていくという。
熊川稚児鹿舞 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

先祖代々地域の少年が舞方を演じる熊川稚児鹿舞。保存会が中心となり次世代へと伝承されている 諏訪神社は大熊町役場から国道6号を挟み、東に約6キロ。車で約10分程度

  大熊町熊川字宮ノ上の諏訪神社に伝わる鹿舞(ししまい)で、同町指定無形民俗文化財。同神社の祭日は旧暦7月27日だったが、現在は新暦の8月27日で、鹿舞は宵祭の26日に境内で奉納される。昔、熊川地区が凶作と疫病に襲われた時に神社に鹿舞を奉納、村の再建を図ったと言い伝えられている。
 舞方は、少年が演じる獅子4人と、大人が演じる野猿1人の5人だが、このほか大人の囃子(はやし)方がおり、太鼓1人、笛5人、ほら貝1人、歌い手1人、指導員1人で構成する。舞方は「回し車」や「黄金の舞」など12節の歌に合わせて舞う。
 原則として獅子は、氏子の中で小学校低学年から中学2年生までの長男によって受け継がれてきたが、近年は少子化の影響で二男、三男も務める。獅子は、獅子頭の飾り物の違いから「法がん」「雌獅子」「中獅子」「後獅子」と呼ばれるが、背には5色の短冊状の「尾」を2本交差して着け、腹部には腹太鼓を着ける。野猿は猿面を着け、上下とも赤い衣装で大きな祝い棒を持つ。
 熊川稚児鹿舞保存会が中心となり、代々受け継いできた。奉納日は年に1日だが、毎年8月14日に熊川公民館で開かれる「熊川ふるさとまつり」にも特別出演、帰省者にふるさとの変わらない姿を披露している。
 昨年は、地元の熊町小の学習ボランティアにも参加、児童の前で舞を演じ伝統文化の大切さを伝えた。
 

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