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【2008.2.29】
安積疏水(あさかそすい)(郡山市)//農業や発電に水の恵み//
岡部次男さん
岡部次男さん
◆果たす役割不変
  国営事業としてスタートした安積疏水だが、その管理は国や県から民間へと移り、現在は安積疏水土地改良区が担っている。
 同土地改良区は毎年11月1日の通水記念日に、郡山市の開成山大神宮で記念式典を行い、先人の功績をたたえながら豊かな水の恵みへの感謝を忘れないようにしている。
 第7代理事長の岡部次男さん(70)は「時代が変わっても安積疏水の果たす役割は変わらない。私たちはそれを守り続けていきたい」と話す。
安積疏水 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

安積疎水の水を使う沼上発電所。その電力は郡山を工業都市へ変容させるきっかけとなった 沼上発電所は市街地から車で約40分。JR磐越西線中山宿駅から徒歩で約30分

  人口34万人の中核市に発展した郡山の基礎をつくった。農業をはじめ発電、水道などに利用されており、今も同市を中心とした県中地方に大きな恵みをもたらしている。
 明治維新後、生活に困窮する士族の救済と食糧増産による富国強兵を目指した明治政府は、安積原野開拓を計画した。猪苗代湖の水を奥羽山脈を貫いて同原野へ導く疏水事業は、国営第一号農業水利事業として1879(明治12)年に着工、延べ85万人の人員と総事業費約40万7000円(現在の貨幣価値に換算すると約400億円)をかけて3年後の82年に待望の水路約130キロが完成した。
 農業用水として郡山地域の水稲生産の拡大に大きな役割を果たしたが、時を経るに従って多目的に利用されるようになった。99年には疏水の流れを利用した国内2番目の水力発電所の沼上発電所(郡山市熱海町)が建設され、国内で初めてとなる長距離送電が実現した。この快挙によって、その後、多くの紡績会社などが郡山に進出、工業都市へと変容するきっかけとなった。
 現在は郡山市をはじめ須賀川市、本宮市、猪苗代町、大玉村の約9000ヘクタールに水を供給しており、2006年に農林水産省などが選定した「疏水百選」の一つに選ばれた。郡山市には、分水路として建設され現在は散策路が整備されている南川渓谷や麓山公園内の「麓山の滝」などゆかりの施設が今も残っている。
 

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