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赤土隆行さん |
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◆歴史の経過を実感 |
阿弥陀堂は1952(昭和27)年に国宝に指定された。明治維新後の神仏分離令の影響で荒廃した時期もあったが、現在は浄土庭園とともに復元、整備され、県内はもとより全国から多くの観光、参拝客を集めている。
「四季折々の魅力をゆっくりと散策して楽しんでほしい」と願成寺住職の赤土隆行さん。「遠い平安の昔から脈々と続く歴史の経過を実感できる場所。後世にしっかりと残るよう、大切に継承していきたい」と話す。 |
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浄土庭園の中央にたたずむ阿弥陀堂。建造物としては県内で唯一国宝に指定されている |
■常磐道いわき中央ICから南に約9キロ、JR常磐線内郷駅下車、川平行きバス、あみだ堂バス停下車、徒歩5分 |
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先人が思い描いた極楽浄土の世界を今に伝える阿弥陀堂。菩提(ぼだい)寺願成寺に伝わる文献や墨書から平安時代末期の建立とされる。建造物では県内唯一の国宝。
文献によると、阿弥陀堂は平安時代の1160(永暦元)年、鎮守府将軍藤原清衡の娘徳姫が亡夫の冥福を祈り、徳姫の故郷の奥州平泉の中尊寺金色堂を模して建立したとされる。平安時代後期の阿弥陀堂建築の代表的な例とされ、正式な名は「願成寺阿弥陀堂」。阿弥陀堂がある内郷「白水」の町名は、奥州平泉の「泉」を、上下に分割して名付けられたと伝えられている。
堂内は、敷地内の浄土庭園と同様に極楽浄土を具体化していた−とされ、壁板には壁画が描かれていたと言われるが、現在はわずかにその面影を残すのみ。その壁板からは、当時の歴史、伝統とともに、先人が鮮やかに彩った夢の世界がしのばれる。
須弥檀(しゅみだん)上には、いずれも国指定重要文化財の阿弥陀如来像、両脇侍の観世音菩薩像、勢至菩薩像、二天像の持国天像、多聞天像の計5体の仏像が安置されている。
創建当時の姿に復元、整備されている浄土庭園は国指定の史跡。阿弥陀堂を中心に東・西・南の三方を池に、さらに東・西・北を山で囲まれている。園内は四季折々に自然豊かな表情を見せ、夏には大輪の古代ハス(大賀ハス)が咲き、秋には紅葉で色づく木々が建物の存在を際立たせる。 |
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