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大嶽洋一さん |
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◆祖先の思いを継承 |
祭りで使われる「つつこ」は前日に祭り実行委員会や氏子、地元若連の手で作り上げられる。担ぎ手や経費の問題で祭り自体を休止していた時期もあったというが、町全体の協力で復活、合併後は市ぐるみで祭りを盛り上げている。
厳島神社の禰宜(ねぎ)として実質的に宮司の役割を果たしている大嶽洋一さん(66)は「祖先の方々が五穀豊穣を祈る祭りとして子孫の繁栄を願い残してきた行事。氏子の人々もその思いを胸に抱いて受け継いでくれている」と話す。 |
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豊作や無病息災を願って勇壮に繰り広げられるつつこ引き祭り |
■祭り会場は阿武隈急行保原駅から北に徒歩で5分。厳島神社は同徒歩8分 |
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一年の五穀豊穣(ほうじょう)を占う祭りとして毎年3月の第1日曜日、伊達市保原町の四丁目交差点で行われる厳島神社の奇祭。県の10大奇祭にも数えられ、信達地方に春の訪れを告げる祭りとして地区の氏子たちの手で守られてきた。
祭りは、280余年の歴史を持つ伝統行事。江戸時代・享保年間の大飢饉(ききん)の際、当時の領主松平通春が領民に種もみを分け与えたところ、翌年から豊作になり以降、感謝の意を表すために行われるようになったと伝えられている。
それ以前は、市(いち)の神を祭る市神祭が行われた際、勝った方が市の場所を決める習わしとして行われていたが、通春の行いを記念するために一層盛大になったといわれている。
「つつこ」は大俵のことで氏子たちが毎年、約800束のわらを使って直径約1メートル、長さ約1.5メートル、重さ約800キロのつつこを作り上げる。つつこの中にはご神体の赤飯が入れられ、寒風の中、花火を合図に3方向に分かれた下帯姿の若衆が激しい引き合いを展開する。
見物人には福もちなどが振る舞われるほか、つつこに使用したわらは参加者が持ち帰り、神前にささげることで無病息災や豊作を祈願する。
今年は3月2日に実施された。男衆らのつつこを引き合う「ワッショイ、ワッショイ」という威勢のいい掛け声で、町は祭り一色に彩られた。 |
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