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【2008.03.12】
常磐炭田遺産群(いわき市)//近代化けん引面影残す//
里見庫男さん
早期に基金設立を
  産業遺産への注目が高まる中、いわき地域では常磐炭田が果たしてきた役割を後世に伝え、観光資源としての活用を目指す活動が展開されている。
 その中心的役割を担っている常磐炭田史研究会顧問、いわきヘリテージツーリズム協議会長の里見庫男さん(67)は「産業遺産を正しく紹介できる語り部の育成、広域観光ルートづくりが課題」とし、「産業遺産の保存に向け早期に基金を創設し、次代に地域の宝を引き継いでいきたい」と話す。
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住吉一坑の坑口跡。丈夫に坑内の空気を排出した扇風機上屋跡がある(現在は社有地のため通常の立ち入りは禁止) 住吉一坑の坑口と扇風機上屋跡はJR常磐線内郷駅から西に車で約5分

  常磐炭田の石炭層は、いわき市を中心に浜通り南部から茨城県北部にかけてあった本州最大の炭田。一帯が「常陸」と「磐城」にまたがっていたため、「常磐炭田」と呼ばれた。
 石炭の発見は江戸時代末期。明治以降、国内産業の近代化に伴い基幹産業として発展、ピーク時で炭鉱労働者数は約3万6000人、炭鉱数は130前後を数えた。石炭産出量は、機械化が進んだ1957(昭和32)年の年産430万トン超がピーク。
 その後、エネルギー環境の変化で石炭需要が減り、常磐炭田は76年9月に坑内採炭が、85年3月に露頭採炭がそれぞれ終了、すべての鉱山が閉山した。
 常磐炭田一帯に残る坑口跡や選炭場跡、専用線路跡などの遺産群は160カ所以上に上る。このうち、いわき市湯本地区には、常磐炭礦磐崎礦石炭積込場やズリ山などが点在。内郷地区の住吉一坑跡地には、石造りの重厚な2つの坑口と赤レンガの扇風機上屋などが残り、日本の近代化をけん引した、かつての面影を今に伝えている。
 常磐炭礦磐城礦業所の火力発電所や坑木置き場などがあった場所に建つ「いわき市石炭・化石館」には、常磐炭田の歴史資料をはじめ、採炭機械や道具類などが保存・展示され、当時をしのぶことができる。
 全国的に産業遺産(ヘリテージ)の価値が見直されており、常磐炭田遺産群は2007(平成19)年11月、経済産業省から近代化産業遺産の認定を受けた。
 

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