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服部善明さん |
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◆一般公開が成功 |
クマガイソウの里まつりを開き群生地の公開に踏みきったことで、クマガイソウの保護活動は「ひそかな保護」から「開かれた保護」に移った。
水原の自然を守る会会長の服部善明さん(74)は「多くの人に見てもらい、保護意識を高めることが公開の目的だった。公開しなかったら、今ごろ絶滅してしまっていたかもしれない」とした上で「希少な群生地を全国にアピールしながら、水原の地域活性化にも貢献していきたい」と話す。 |
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白い袋状の花びらをつけ、山林でかれんに咲き誇るクマガイソウ |
■東北道福島松川スマートインターチェンジから西へ車で約20分 |
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福島市の南端に位置する。全国でも希少なクマガイソウの自生地の一つで、見ごろを迎える5月には県内外から多くの山野草愛好者らが訪れる。約8000株のクマガイソウが自生、「クマガイソウの里」と呼ばれ親しまれている。
クマガイソウはラン科の多年草で、袋状の花びらが特徴。野草の中でも観賞価値が高いため、園芸用に採取されるなど自生地が激減、ふくしまレッドデータブックの絶滅危惧(きぐ)T類に指定されている。同地区にはヤマブキソウやニリンソウなどの貴重な野草も自生する。
1991(平成3)年ごろに地域住民がクマガイソウの群生を確認。以後、住民らが独自に監視活動を行っていたが、2000年ごろに盗掘が頻発、住民だけでの監視に限界が生じたため02年3月、当時水原生産森林組合長だった服部善明さんらが中心となって「水原の自然を守る会」が結成された。
同会は公的支援を受けながら群生地周囲に有刺鉄線を設置、03年5月には群生地を一般公開する第1回クマガイソウの里まつりを開催。04年4月に再び約500株の盗掘被害に遭ったが、地元住民や同会員らの定期見回りなどが実を結び、07年には8000株以上の群生が確認された。
同年で第5回を数える「クマガイソウの里まつり」では、地元福島市立水原小の児童たちが野草観察のガイドを務めるなど、地域を挙げた保護活動が国内有数の群生地を支える。 |
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