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根本賢仁さん |
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◆地域の活性 実感 |
地域全体で脈々と受け継がれてきた浜下り神事だが、最近では少子化などの影響で後継者不足に悩まされている。
神事の保存、継承に当たっている鹿島神社総代の根本賢仁さん(61)は「近年では、東京電力広野火力発電所の若手職員らの協力もあって神事ができている」と担ぎ手不足による神事の苦労話を披露し「神事を通して、地域のつながりや活性化が実感できる。住民への理解を広めながら後世に残していきたい」と話す。 |
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浅見川上流と下流の神社の神輿が合流して河口で潮垢離する神事。年に一度の「出会い」の祭り |
■大滝神社は常磐道広野ICから南へ車で約15分、鹿島神社は約20分 |
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広野町を流れる浅見川上流と下流の神社の合同例祭。上流の大滝神社と下流の鹿島神社の神輿(みこし)が、同町桜田地区で合流して浅見川河口の浜辺まで向かい、みそぎを意味する「潮垢離(しおごり)」をする。
大滝神社は女神さま、鹿島神社は男神さまともいわれ、年に1度の「出会い」の祭りとなっている。
地区民には「たんたんぺろぺろ」と呼ばれ親しまれている。太鼓をたたく音「たんたん」と、笛を吹く音「ぺろぺろ」から、こう呼ばれるようになったという。現在は太鼓のみだが、古くは笛や太鼓のはやしに乗って行列を組んで浜に向かった。
本来の祭礼日は4月8日だったが、近年は担ぎ手不足を踏まえ、同月第1日曜日に繰り広げられている。
広野町史によると、本来の祭礼日は、山の神が山から下りて田の神になる日で、農作業を休み家で静かに過ごす日とされていたという。
浜通り地方全般にも浜下り神事が残り、「お八日」「神日」などとされ「田には入らず、種まかず」の日だった。祭礼には、豊作と五穀豊穣(ほうじょう)を願う側面もあったとみられる。先人は、農作業の手を休め、伝統行事を絶やすことなく後世に伝えてきた。
神事では、両神社の神輿とともに子ども神輿も加わって地区内を練り歩く。太鼓の軽やかな音色に合わせ、伝統行事を守る住民の熱気が地区内を包む。 |
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