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【2008.07.02】
平伏沼のモリアオガエル(川内村)
//新緑の森に響く鳴き声//
山中安了さん
生命の神秘感じる
  産卵期を中心に3年前から、川内村モリアオガエル管理監視員を務める山中安了さん(73)が平伏沼に常駐している。「生命の神秘を感じる。カエルになるまでには、イモリなどに9割以上が捕食されるが、1匹でも多く無事に育ってくれれば」と話す。
 沼には小川などの流入がなく天候に左右されるという。空梅雨時は卵塊の下に水を張った発泡スチロールを置き、かえったオタマジャクシの保護にも努める。
平伏沼のモリアオガエル 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

深緑の中でモリアオガエルの卵の塊が垂れかかる平伏沼 ■常磐道常磐富岡ICから西へ車で約1時間、川内村役場から南西へ同約30分

  繁殖地の平伏沼は、川内村の平伏山(842メートル)の山頂にあり面積約12アール、国の天然記念物。モリアオガエルは、県の「レッドデータブックふくしま」では「希少」に指定されている。雄が体長4―7センチ、雌が6―8センチ。背中側の地色はまだら模様のある緑で、ニホンアマガエルよりもやや大きい。日本の固有種。
 産卵は、梅雨入りする6月中旬ごろから始まる。7月上旬ごろまでの間、沼のほとりにある落葉広葉樹の枝に白い泡状の「卵塊」が産み付けられ、ピーク時には約300個の卵塊が沼の水面に垂れかかる。卵塊の大きさは直径10―15センチで、中には黄白色の卵が300―800個入っている。繁殖地として指定を受けているのは、全国では平伏沼と岩手県八幡平にある大場沼の2カ所のみ。
 一時は絶滅寸前まで追い込まれた。沼北西部の伐採と、1972年の干ばつが重なって産卵期に沼が干上がった。当時の村内の中学生が自宅にモリアオガエルの卵塊を持ち帰って孵化(ふか)させた活動を端緒に、村挙げての保護活動となり危機を脱した。
 雨上がりの沼周辺には、あちこちからモリアオガエルの鳴き声が響く。卵塊は深緑の木々に囲まれた中に映え、沼周辺を神秘的な雰囲気に包む。「蛙の歌」で知られる詩人の故草野心平が同村に移住したきっかけとなった。
 沼のほとりには、心平の歌碑「うまわるや森の蛙は阿武隈の平伏の沼べ水楢のかげ」が建てられている。
 

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