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【2008.07.04】
塔のへつり(下郷町)//名高い100万年の渓谷美//
星 平善さん
◆自然を守り後世に
  江戸時代には既に景勝地として知られていたという塔のへつり。代官や会津藩の役人らも立ち寄ったとされる。近代ではアクセス道路が整備された1965(昭和40)年ごろから観光客が増え始め、2005年以降は毎年64万人を超える人が訪れる。
 下郷町観光協会長の星平善さん(68)は「自然の営みが生み出した本県を代表する観光地。周辺の自然を守りながら町の宝として後世に残していきたい」と話す。
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阿賀川沿い最高の渓谷美といわれる塔のへつり。100万年ともいわれる歳月をかけてつくり出された天然の彫刻 ■国道121号沿い下郷町物産館近くの交差点から東へ車で約3分

  凝灰岩質の地層が100万年ともいわれる長い歳月をかけて浸食、風化を繰り返してできたといわれる。「へつり」とは、方言で「川に沿った断崖(だんがい)」を意味し、奇岩・怪岩が塔のように並ぶことから「塔のへつり」と名前が付いた。阿賀川沿い最高の渓谷美と名高く、1943(昭和18)年に国の天然記念物に指定された。
 塔の形をした岩は「烏帽子(えぼし)岩」「獅子塔岩」など10個。このほかに「土俵岩」「屏風(びょうぶ)岩」など、独特の形から名付けられた岩がある。土俵岩は川にせり出した低く平らな岩で、この上で相撲を取り、相手を川に落として勝敗を競ったとの言い伝えがある。
 初夏はフジの花、秋は紅葉が岩壁を美しく彩る。冬の厳しい寒さは断崖を雪とつららで覆い尽くし、荘厳な雰囲気を醸し出す。つり橋で対岸に渡ると、阿賀川の流れを間近に見ることができる。落葉が深緑色の川面に浮かぶ秋の光景はとりわけ趣深い。
 岩壁の石段を上ると堂があり、虚空蔵菩薩(ぼさつ)が祭られている。その昔、坂上田村麻呂が東征の折に祭ったとされ、現存の堂は約300年前に建てられたと推定されている。
 つり橋は80年ごろまで、川を挟んだ弥五島、白岩地区を結ぶ生活道路の一部として使われた。つり橋が架かる前は丸太を渡して板を張った橋だった。断崖沿いに地元住民が通った道があったが、下流に新しい橋が架かり現在は使われていない。
 

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