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三瓶利之さん |
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◆住民協働で守る |
只見町は2007(平成19)年7月、町民一丸で自然を守る決意を込め「自然首都・只見」を宣言、保護と活用の取り組みを本格始動させた。町の積極的な情報発信で近年、県内外から大勢の人がブナ林を訪れている。
同町の自然ガイド三瓶利之さん(63)は、山を案内しながら入山者に森の大切さを訴える。「森にはたくさんの動植物が生き、水源としても重要。保護と活用のバランスを保ち住民協働でしっかりと守っていく」と話す。 |
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原始性に優れイヌワシなど絶滅危惧(きぐ)種の生息も多く確認されている奥会津のブナ林 |
■只見町までは磐越道会津坂下ICから国道252号を西へ車で約1時間20分 |
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越後山脈東側に広がり会津地方西部をさす奥会津。全国有数の豪雪地帯で、一帯の山々にブナの天然林をはじめとした自然度の高い森林が広範囲に分布している。
林野庁は2007(平成19)年4月、この原生森林を将来にわたり保護しようと只見町、金山町、桧枝岐村と南会津町の旧伊南村、旧舘岩村にまたがる国有林8万3573ヘクタールを「奥会津森林生態系保護地域」に指定した。
指定地域には国立、国定、県立など自然公園の網も二重、三重にかけられている。ブナは、この広大な自然の代表的存在。只見町には約4万ヘクタールのブナ林があり、このうち越後三山只見国定公園、只見柳津県立自然公園内の約2万4000ヘクタールは人の手がほとんど加えられず現在に至っている。
奥会津のブナ林は、面積の広さとともに幹回り3メートル以上、樹高30メートルに及ぶ巨木が高密度であり、原始性に優れていることが最大の特徴。
ブナの森は「自然のダム」と例えられ、大量の水を蓄えて無数の動植物に生命を与えている。奥会津はイヌワシの繁殖地として知られ、只見町ではクマタカ、クロホオヒゲコウモリ、ユビソヤナギなど希少種の生息、群生も数多い。
クロホオヒゲコウモリは、国内で確認されていたのは40匹のみの貴重な日本固有種だが、只見町では近年、新たに25匹が発見された。専門家によると、国内最大の生息地とされ、奥会津に広がる森林の原始性が国内屈指であることを証明している。 |
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