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【2008.07.22】
只見の民具(只見町)//先人の知恵 現代に残す//
横山哲夫さん
横山哲夫さん
◆再び息 吹き込む
  「只見方式」と呼ばれた町民主体の民具整理には当時80−90歳代の高齢者も参加、「自分たちが使った民具は自らの手で孫子に残す」と使命感に燃え、知識と経験を生かして分類、写真を添えて使い方などを記録した。
 整理作業のリーダーだった只見町民具と語る会長の横山哲夫さん(83)は「山積みの民具を一つずつ記録する五里霧中の作業だったが、先人の汗と涙が染みこんだ民具に再び息を吹き込むことができた」と振り返る。
只見の民具 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

先人の知恵や暮らしぶりを現代に伝える民具。2333点が国指定重要有形民俗文化財 ■旧朝日公民館まではJR只見駅から国道289号を南東へ車で約15分

  古来豊かな森の恵みを受けて暮らしてきた只見町の人々は、稲作や畑作、狩猟などのために数多くの民具を作り、使ってきた。町は7500点以上の民具を歴史資料として保存している。このうち2333点は「会津只見の生産用具と仕事着コレクション」として2003(平成15)年、国重要有形民俗文化財に指定された。
 生産用具は農耕、自然採集、狩猟、漁労、山樵(さんしょう)、屋根ふきなどの千九百十七点。仕事着は野外の農作業で着る「シゴトシ」、村普請や建前などの共同作業で着用した「サシコバンテン」など416点。すべて江戸期から昭和期までに製作、使用されたもので、先人の知恵や暮らしの移り変わりを現代に伝えている。
 民具は町民の努力によって収集され、文化財指定に至った。1965(昭和40)年ごろ、農作業の機械化、集中豪雨による集落移転などを背景に、民具はほうっておけば消滅する恐れがあった。町は町民とともに60年代後半から収集を始め、20年以上にわたって町内から膨大な数の民具を集めた。
 88年にスタートした町史編さん事業で民具の価値が再認識されると、町は90年から本格的な民具の整理に着手。実際に民具を使っていた高齢者を中心に作業は進められた。民具に詳しい町民を主体としたこの整理法は「只見方式」と呼ばれ、全国から注目を集めた。同町黒谷の旧朝日公民館に保管されている。
 

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