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二階堂匡一朗さん |
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◆次世代へ伝えたい |
吾妻山にあるほとんどの登山道は、微温湯温泉(福島市)の6代目館主である二階堂伊蔵と画家の計見東山が尽力し、1924(大正13)年に完成した。
伊蔵の孫で8代目館主を務めた二階堂匡一朗さん(75)は、吾妻山にある多彩な自然を紹介したいという祖父の思いを受け継ぎ、講演や執筆活動を通して自然保護を訴えている。「吾妻山は湿原美、森林美、渓谷美など多くの自然が残る。自然の大切さを次世代にも伝えていきたい」と語る。 |
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四季折々の表情を見せる連峰のシンボル・吾妻小富士 |
■福島市街から高湯または土湯温泉を経て登山口がある浄土平まで車で約1時間 |
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福島盆地を抱き、四季折々に多彩な表情を見せる吾妻連峰。本県と山形県の県境、東西約20キロ、南北約15キロにわたり標高2000メートル前後の十数座の山々が連なり、磐梯朝日国立公園の「磐梯・吾妻地域」に位置する。
連峰の最高峰の西吾妻山(2,035メートル)を中心とする西吾妻火山群と、荒涼とした岩山の山容で知られる一切経山を中心とする東吾妻火山群に大別できる。このうち、東西両火山群を総称して「吾妻山」と呼んでいる。
東吾妻火山群の山々の間には、火山活動によって形成された″吾妻のひとみ″ともたとえられるコバルトブルーの五色沼や鎌沼、桶沼など比較的大型の火山湖があり、神秘の光をたたえている。
ウラシマツツジなどの高山植物や、ヒナザクラなどの南限植物、シラビソなどの北限植物などが群生している自然の宝庫でもある。初春には「種まきウサギ」や「雪ウサギ」の呼び名で知られるウサギの形をした吾妻小富士の残雪が福島市民に春の訪れを告げる。
連峰を縫うように走る全長約29キロの磐梯吾妻スカイライン沿いは「吾妻八景」と呼ばれる美しい眺望が、観光客の目を楽しませる。桶沼畔には、山形県出身の歌人斎藤茂吉が吾妻山を詠んだ「五日ふりし雨はるるらし山腹の吾妻のさぎり天のぼり見ゆ」の歌碑がある。隠れた名所となっており、吾妻山ファンだった茂吉の思いを残している。 |
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