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陣野原幸紀さん |
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◆異なる表情が魅力 |
次代に伝えようと、土湯温泉でこけし作りに携わる木地職人が集まり約50年前、土湯こけし工人組合を立ち上げた。組合は、職人の高い技術を生かして新しいこけしを開発するとともに、毎年4月に土湯こけしまつりを開き、全国にPRしている。
同温泉街では宿泊客向けの絵付け体験も行っている。
同組合の陣野原幸紀組合長(60)は「こけしは見る人により異なった表情を浮かべる。それがこけしの奥深い魅力」と語る。 |
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約160年前から制作されている伝統の土湯こけし |
■土湯温泉はJR福島駅から西に約15キロに位置し、車で約25分 |
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宮城県の鳴子、遠刈田と並び「日本三大こけし」の1つに数えられる土湯こけしは、約160年前の江戸時代後期に誕生した。当時、鉢や盆などの木製の生活道具を制作していた木地屋と呼ばれる木地職人が作り始めたとされ、芸術性の高い伝統民芸品として受け継がれてきた。現在の工人は9人。
こけしは東北でしか作られていない。土湯を含め11系統に分けられ、いずれも温泉地が発祥。1940(昭和15)年に「こけし」と名前が統一されるまで、呼び名は各温泉地で異なり、土湯では「でこ」と呼ばれていた。
こけしは「子宝に恵まれたい」との思いから、その名が付いたというのが通説だが、他県では人形のことを「けし」と呼んでいた地域もあったため、木で作られた「けし」で「木(こ)けし」になったともいわれる。
土湯こけしは、「くじら目」と呼ばれる半月型の目と、蛇の目模様の髪、ほかの温泉地に比べ一回り小さい頭部が特徴。頭を胴に差し込んで作る「はめ込み式」のため、頭を回すと「キイキイ」と音がする。くびれた胴と、胴に描かれたしま模様も土湯ならではで、その女性的な美しいシルエットに魅せられる人も多い。
土湯こけしは湯治に訪れた女の子の、ままごとの道具として人気を集め、現在では芸術性の高さから土産品として愛好される。ミズキやカエデなど同温泉近くに原生する木などが材料として使われている。 |
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