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【2007.12.15】
信夫文知摺(福島市)//東北唯一 多宝塔の遺構//
横山俊邦さん
横山俊邦さん
紅葉の苗毎年植栽
  信夫文知摺を管理する安洞院住職の横山俊邦さん(59)は、歴史を次の世代に伝えたいと、観光客に観音の話や石の伝説などを伝えている。
 2002(平成14)年には、全国各地に分散していたこの地にゆかりのある松尾芭蕉や正岡子規らの真筆など集め、美術資料館「伝光閣」を開設した。
 また、信夫文知摺を紅葉の名所にしたいと毎年、紅葉の苗を植えている。今年初めて実施した紅葉のライトアップでは、幻想的な光景が人気を集めた。
信夫文知摺 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

境内には、慕う人の面影を映し出すと伝えられる伝説の文知摺石をはじめ史跡が残る JR福島駅から東に約5キロにあり、国道4号、115号を通り車で約15分

  古くは小倉百人一首や松尾芭蕉の奥の細道に詠まれたいにしえの信仰の地。木立に囲まれた境内には、伝説を今に伝える文知摺石や県指定重要文化財の多宝塔など数多くの史跡が残る。
 鏡石とも言われる文知摺石には悲話が伝わる。平安時代、嵯峨天皇の皇子がお忍びで信夫地方を訪れたときに、虎女という娘と恋に落ちた。都に戻った皇子との再会を願う虎女は文知摺観音に百日参りの願をかけた。満願の日になっても都から何の便りもなく嘆き悲しんでいると、傍らの文知摺石に皇子の面影が映し出されたという。
 悲嘆に暮れ、病の床についた虎女のもとに届いた皇子からの歌が「みちのくの忍ぶもちずり誰ゆえに みだれ染めにし 我ならなくに」だった。
 当時の信夫地方は、しのぶ草の葉形などをすり込んだ風雅な模様の「もちずり絹」の産地としても知られており、和歌は絹織物に乱れる恋心を例えたとも考えられている。
 「乱れ心」を意味する歌枕「しのぶもちずり」を生んだ地として多くの歌人、俳人の創作意欲をかき立てた。後に松尾芭蕉や正岡子規らがこの地を訪れ、句を詠んだ。
 歌碑や句碑が残る境内にはこのほか、仏塔の一形式で、塔身の二重塔と下層屋根上の亀腹を特徴とする安洞院多宝塔が建立されている。見応えのある塔の建築は江戸時代の1812年ごろ。多宝塔の遺構は関東以北では少なく、東北では唯一という。
 

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