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【2007.12.26】
大堀相馬焼(浪江町)//青ひびと二重構造特徴//
半谷秀辰さん
半谷秀辰さん
先人の考案に誇り
  大堀相馬焼協同組合理事長の半谷秀辰さん(54)は、大堀相馬焼の伝統技法の伝承に取り組んでいる。「先人が考案した青ひびや湯飲みの二重構造が特徴で、誇りがある」と語る。
 「陶芸の里」の大堀地区は紅葉で有名な高瀬川渓谷の近くにあるが、半谷理事長は観光整備が進む同渓谷との相乗効果を期待している。「陶芸の杜おおぼり周辺の景観整備にも力を入れている」と半谷理事長。郷土の自然を守ることも「誇り」としている。
大堀相馬焼 《mapクリックで詳細mapが表示されます》

先人らの伝統技法を受け継ぐ大堀相馬焼。「大せとまつり」には毎年、大勢の観光客が訪れる ■窯元が軒を連ねる浪江町大堀地区はJR浪江駅から西に約7キロ、車で約10分

  浪江町大堀地区一円で生産される焼き物で、1978(昭和53)年に国の伝統的工芸品に指定された。歴史は古く、1690年に大堀村の相馬藩士半谷仁左衛門休閑の使用人左馬が、藩内の中村城下で陶器作りを学び、大堀に戻って技法を伝えたのが始まりとされている。
 相馬藩は殖産政策を実行、大堀村に瀬戸役所を設け資金の援助や原材料の確保など保護育成に努めた。窯元も農家の副業として近隣地域に普及、製作された陶器は請戸港から関東一円などに出荷された。販路は徐々に拡大、江戸末期には百数戸の窯元が並ぶ一大窯業地域として発展した。
 交通の発達や他産地との競合で、大正期に入ると窯元は30戸に激減。昭和期の戦争やオイルショックでも大打撃を受けたが、現在も約30の窯元が伝来の技法を守りながら、生活の多様化に適応した新たな作品の製作に努力している。
 特徴は「青ひび」といわれるひび割れが、器全体に広がり、地模様になっていることで、狩野派の筆法と伝わる「走り駒」の絵や、湯が冷めにくく、熱い湯を入れても持つことができる「二重構造」も伝統技法として受け継がれている。
 大堀相馬焼協同組合は、物産会館「陶芸の杜おおぼり」で5月に「大せとまつり」、11月に「登り窯まつり」を開催、毎年、大勢の観光客が訪れる。2月には地区内の愛宕神社で「陶祖祭」を行い、窯元が先人の偉業をたたえ、伝統継承への誓いを新たにしている。
 

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