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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 10 〕 岩波 洋 医師    
【 肺がん(下) 】
大きく進歩する治療法

 肺がん検診の結果で要精検(精密検査が必要です)の通知を受け取った場合は、怖がらずに専門の医療機関を受診してください。まずコンピューター断層撮影(CT)検査、次いで気管支鏡検査が行われます。
 肺がんの治療法は、外科(手術)、放射線、化学(抗がん剤)療法がありますが、それぞれ大きな進歩が見られます。
 治療の中心は外科療法です。手術後の予後(成績)は、左上のグラフのように早期やそれに準じる場合(病期の1aや1b)の5年生存率は70〜80%と良好です。過去においては、喫煙者に扁平(へんぺい)上皮がんが多く、しかも進行がんが多数ありました。当然のことながら進行がんの場合(3aや3bと4期)は、その生存率は30%以下と不良でした。最近は腺がん症例がそれに取って代わり、片肺の2分の1または3分の1の切除や、部分的な肺切除とリンパ節の切除に移行してきました。この傾向はさらに加速すると思われます。
 抗がん剤開発の進歩は、手術不能の進行がんや再発がんに福音をもたらしています。特に、分子標的薬(がん細胞を選択的に狙う)の登場により、リンパ節やほかの臓器に転移をした腺がんに、著明な延命効果をもたらしています。
 最後に、逐年検診の大切さを教えてくれた患者さんを紹介します。
 喫煙者(男性)でしたが、集団検診を1992(平成4)年に受診、異常なしと通知をもらいました。しかし、95年ごろ、せきが続くようになり、病院に行かず検診を受けました。左肺の中心部に巨大な腫瘍(しゅよう)が見つかりましたが、すでに進行がんで、6カ月後に亡くなりました。本人は「最初の検診で異常がなかったから3、4年は大丈夫と思っていた」と話していました。
 毎年、がん検診を受けましょう。これががん対策の合言葉です。
(県医師会員・郡山市)
=次回掲載8月7日

 



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