乳腺外来での診断手順
もし皆さんが乳がんを心配して乳腺外来を受診されたときに、どのような手順で診断が行われるのでしょうか?
問診、触診に加え、マンモグラフィー検査と超音波検査があります。触診でしこりに触れなくてもマンモグラフィーや超音波検査で見つかることがあります。マンモグラフィー検査では乳房を適度に圧迫し1方向ないし2方向の撮影をします。乳房全体を一度に検索でき、質的な画像診断のほか、スクリーニング検査としても有用です。
乳がんに特徴的なしこりは白く辺縁がぎざぎざして写り、さらに細かく、とげとげした、大きさの不ぞろいな、乳頭に向かい配列する典型的な乳がんの石灰化(白い点)が見られることがあります。超音波検査は乳腺内のしこりに反射した超音波の状況を画像としてとらえるものです。マンモグラフィー検査では認識できなかったしこり、例えば5ミリ程度の小さな乳がんの描出も可能です。
ここまでの診断でしこりや石灰化など異常所見が見つかった場合は、超音波あるいはマンモグラフィーを併用し、細い注射針を用いる細針穿刺(せんし)吸引細胞診か太い針を用いる太針組織生検が行われます。
特にマンモグラフィーでのみ発見される触れない、良悪性の鑑別が必要な石灰化に対しては、マンモグラフィー画像を見ながらコンピューターガイドに局所麻酔をして太針を刺入し、石灰化を含んだ乳腺組織を採取するマンモトーム生検を行います。今まで371人の患者さんのマンモトーム生検を経験し、乳がんと診断されたのは76人(20.5%)でした。そのうち約4分の3は理論上、脇の下のリンパ腺に転移がない初期段階の乳がんで、縮小手術も可能です。
(県医師会員・郡山市)
=次回掲載8月21日
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