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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 15 〕 山田 秀和 医師    
【 子宮がん(上) 】
HPV感染から発がん

 長年、婦人科腫瘍(しゅよう)の診療をしていると、折に触れ患者さんの顔が目に浮かんできます。本稿の執筆依頼を受けたときに真っ先に浮かんだのは、進行子宮頸(けい)がんが発見された10代の女の子の顔でした。手術はできずに亡くなってしまいました。なぜ若くしてがんで死ななければならないのか、当時まだ原因が明らかにされておらず、悔しさと悲しさだけが残りました。

 【子宮頸がんの原因】子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発がんします。このウイルスは性交で感染します。HPVは現在約130種類以上が同定されており、このうち約15種類が子宮頸がんと関連するとされています。 
 HPVは米国では生涯を通じて約80%の女性が感染する極めてありふれた性感染症です。感染した方の大部分は2年以内に自然にウイルスが排除されるため、感染してもまず心配ありません。
 ただ、少数の方が持続感染を起こし、この中から子宮頸がんが発生します。HPVに感染した方の200〜300人に1人が子宮頸がんに進展すると推計されています。日本でも米国と同様に女性の約3〜4人に1人がHPVに感染していることが報告されています。

 【早期発見に向けて】では感染を予防することは可能でしょうか? 答えはNOです。コンドームを完全に使用すれば予防効果がかなり期待できますし、パートナーの男女が生涯通じて他の性交渉を持たなければ感染はありませんが、これらは現実的な話ではありません。これだけ多くの方が感染し自然治癒するものですから感染はある程度仕方がないものと考え、感染してもがんになる前に、あるいは極めて早期のがんのうちに手立てを行うことが大切です。早期に発見し治療すれば子宮も残せ、赤ちゃんを産むことも可能です。
 では、早期に発見するためにはどうすればよいのでしょうか? 答えは次回に書いてみたいと思います。
(県医師会員・福島市)
=次回掲載10月16日

 



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