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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 18 〕 小泉 孝幸 医師    
【 脳腫瘍 】
種類多く、症状さまざま

 脳腫瘍(しゅよう)とは、脳のできものということですが、慣例的に脳を入れている器である頭蓋(ずがい)骨の内側に生じる腫瘍(頭蓋内腫瘍)全般をいい、種類は多種にわたります。その場所に最初から生じた原発性脳腫瘍と、体の他部位のがんが転移してきた転移性脳腫瘍に大別され、さらに脳そのものから発生する腫瘍(脳実質内腫瘍・髄内腫瘍)と、脳を包む膜や脳神経・下垂体などから発生し脳を圧迫するように発育する腫瘍(脳実質外腫瘍・髄外腫瘍)に大別されます。
 原発性脳腫瘍の発生頻度は、人口10万人当たり年間10〜12人といわれます。当然、転移性脳腫瘍は悪性腫瘍ですが、原発性脳腫瘍は、良性と悪性腫瘍に分かれます。ただ、脳の特殊性として、機能の局在性(部位ごとに果たす役割が分担され、一度傷つくと他の部位では基本的に機能を代償してくれず後遺障害となります)があるため、外科的治療において、腫瘍の部位によって、安全に障害を残さずに取れる範囲は異なります。生物学的に良性(ゆっくりとした増殖・他に転移しない)でも、臨床的には悪性ということもあり得ます。
 原発性悪性脳腫瘍は、いわゆる「がん」と異なり、特殊な場合を除き、中枢神経系(脳とそれに連なる脊髄(せきずい))の他部位に転移(播種(はしゅ)といいます)することはあっても、その外(他臓器)には転移することはありません。
 脳腫瘍の症状は、@腫瘍の種類に関係なく、頭蓋骨の閉ざされた空間に、腫瘍と周囲の脳のむくみによる容積の増加が限界を超えた時(頭蓋内圧亢(こう)進)に起きる、頭痛、嘔吐(おうと)、目のかすみ、さらに高度になると意識障害などA痙攣(けいれん)発作に代表されるてんかん発作(大人になってから初めての発作)B腫瘍の発生部位による局所症状(まひ、言語障害、性格変化、認知障害、視野障害、複視など)−があります。眼科、耳鼻科、精神科などの医師から紹介されることもしばしばあります。
(県医師会員・会津若松市)
=次回掲載11月20日

 



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