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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 19 〕 小泉 孝幸 医師    
【 脳腫瘍 】
種類によって異なる治療

 脳腫瘍(しゅよう)の診断は、頭部CT/MRI(造影検査を含む)や脳血管撮影など画像検査が主体となります。
 腫瘍の発生部位、脳実質外か内か、浸潤性か否か、単発か多発かなどの情報と、年齢、性別および症状の進行速度などを総合的に判断、脳腫瘍の種類を推定し、治療方針を決めていきます。最終的には、腫瘍(の一部)を外科的に採り、顕微鏡検査(病理診断)を行い、確定診断となります。
 脳腫瘍の治療は、種類により異なりますが、基本は外科的手術です。確定診断をつけるため、髄膜腫、神経鞘腫(しょうしゅ)など髄外腫瘍では、手術単独により治癒が期待できる場合があります。
 一方、神経膠腫(こうしゅ)・神経膠芽腫など髄内腫瘍では、周囲の脳に浸潤する(腫瘍細胞が染み込むように発育)ため、良性で浸潤性格の乏しいものを除き、手術単独での治癒は期待できません。現在では、カーナビのようなナビゲーションシステムを用いたり、手術中に脳や神経を電気刺激してその反応をみる(誘発電位)など、電気生理学的検査を行うことにより、機能障害を残さない範囲内で可能な限り大きく摘出し、その後、放射線療法や化学療法(抗がん剤投与)などの補助療法を組み合わせます。
 化学療法に関しては、全身投与した薬剤が血液中から脳内に取り込まれるのに制約(血液脳関門)があるため、他臓器のがんほどは功を奏し難く、使用しうる薬剤が限られます。ただ、中枢神経原発悪性リンパ腫・胚(はい)細胞腫など化学療法に対する反応が良好な腫瘍もあり、そのような場合は化学療法が治療の主体となります。
 放射線治療は、転移性脳腫瘍などに定位放射線治療(ガンマナイフなど)が行われますが、(再発)髄膜腫や神経鞘腫の一部にも、その増殖を抑制する目的で行われることがあります。ただ、あまり大きな腫瘍は対象外となります。 
 総論的な記述となりましたが、個々の腫瘍に関しては脳神経外科専門医にご相談ください。
(県医師会員・会津若松市)
=次回掲載12月4日

 



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