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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 20 〕 尾股絵里子 医師    
【 舌がん 】
早期では痛みが少ない

 舌がんは口腔(こうくう)がんの中で最もよく見られるがんです。口腔がんで死亡する人は、咽頭(いんとう)がんを含めて、がん全体の死亡者の約2%です。舌がんは、診断が遅れて進行してしまうと、治療しても食事や会話などの日常生活に大きな障害が残ります。しかし早期に発見すれば、ほとんど障害を残さず治療できるがんです。

 【症状は?】口内炎が治らない、舌の側縁にしこりのようなものができている、舌の一部が他の部分より白かったり赤かったりしている、口内炎はあまり痛くないのに首のリンパ腺が腫れている、などが要注意です。小さくても食事ができないほど痛くなるアフタ性口内炎と比べ、早期の舌がんは、痛みを訴えることが少ないのが特徴です。

 【舌がんになりやすいのは?】50〜60代の中高年男性に多く見られます。たばこや飲酒、虫歯、義歯、かみ合わせの悪い歯や舌ピアスなどによる刺激が危険因子で、かみたばこの習慣のあるインドで舌がんが多いことは有名です。
 治療は手術と放射線が主体ですが、進行の程度や施設によって治療方針が異なりますので、受診した病院で相談するのがよいでしょう。
 診断は、病変の一部を採取して顕微鏡で調べる病理診断によって確定します。最近では、内視鏡のNBIという特殊光と高画質ビデオスコープを使って、通常光では見えにくい早期のがんを発見する可能性が広がりました。

 【予防と早期発見には?】予防は、禁煙、節度ある飲酒、刺激物を控え、熱い状態の飲食物は取らない、虫歯やとがった義歯を治療するなど、口腔内を清潔にし、傷つけない注意が必要です。洗面時に鏡で自分の舌を観察し、指でしこりがないかチェックする習慣をつけることをお勧めします。
 異常があればすぐに耳鼻咽喉(いんこう)科や歯科、口腔外科を受診しましょう。舌がんはリンパ節への転移や、食道など他のがんと合併しやすいので、治療後も定期的に見てもらうことが大切です。
(県医師会員・白河市)
=次回掲載1月15日

 



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