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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 22 〕 江尻友三 医師    
【 膵がん(下) 】
60歳以降に多く発症

 前回、膵臓(すいぞう)から発生したがんを膵がん(膵臓がん)と呼び、膵臓は胃の後方にあり「おたまじゃくし」のような細長い臓器であることを説明いたしました。

 【どのようながんか】膵がんは近年もやや増加傾向にあり、2007(平成19)年の日本におけるがんの死亡数において、男性では肺、胃、大腸、肝に次いで第5位、女性では大腸、肺、胃に次いで第4位と肝、乳房より上回りました。発症は60歳以降に多く最近では女性が増えています(厚生労働省人口動態統計)。
 発症数と死亡数がほぼ等しく、難治性のがんとして知られています。

 【注意することは】喫煙、飲酒、肥満、糖尿病、家族性膵がん、慢性膵炎などが危険因子として挙げられておりますが、明らかな因子は不明で、これからの疫学的な研究結果が待たれるところです。

 【検査法】膵臓はいろいろな臓器に囲まれているため、また胃や大腸のように直接内視鏡で観察できないため、早期の発見が極めて困難です。鈍痛などの漠然とした腹部症状があれば、胃や胆のうなどの一般的な消化器の病気がないことを確認した上で、膵臓の病気も考慮して膵の酵素を調べることが大切です。
 超音波検査は年々、画質も良くなり膵臓の観察も可能ですので、それらに異常があれば次の検査に進みます。
 最近は非侵襲的な造影CT・MRIやMRCPなどで膵臓や膵管の異常を調べることが普及してきました。
 内視鏡を使用して胆管や膵管を造影することも、膵液を採取して悪性の細胞を調べる(細胞診)ことも可能です。

 【治療】長期生存を期待できるのは、今のところ手術のみですが、膵がん切除例の5年生存率は十数%と、いまだ難治がんといわれています。
 多少明るい話題は、少しずつ新しい化学療法薬が出てきていることです。
(県医師会員・いわき市)
=次回掲載2月5日

 



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