自分を守る意識高めて
本県の2008(平成20)年度のがん検診の受診率は、逐年検診の肺がん(33.8%)、胃がん(22.6%)、大腸がん(23・4%)では、前年度比で減少しました。一方、隔年検診の子宮がん(24.5%)と乳がん(22.0%)は前年度比、わずかながら増加しました(図)。
しかし、がん対策基本法(07年4月制定)の受診率の目標は50・0%であり、肺がんを除けば、二十数%と低率です。その原因としては、がん検診は健康増進法の「努力義務」にとどまり、自治体などの啓発活動がメタボ健診(08年4月から)に傾きがちでした。一方、未受診の理由としては、「いつでも医療機関を受診できるから」や「必要性を感じないから」が多くありました。実際、早期がんであれば、完全に治る可能性は非常に高くなります。がんを早期に発見するためには、がん検診しかありません。症状が出てからでは遅いのです。
欧米では保険制度の違いから治療費の自己負担率が高いため、”病気から自分を守る”意識が高いといわれています。アメリカ、イギリスでは子宮頸(けい)がんの検診受診率は、80%以上、乳がんでも、70%以上です。その結果、アメリカ、イギリスの乳がん発生率は増加しているにもかかわらず、乳がんによる死亡率が減少し始めているといわれています。
がんというものは、自分で治す時代にきています。自己負担金がある自治体などもありますが、1年に1回、または2年に1回のがん検診を受けて自分の身を守る、または家庭を守るということが一人一人の責務だと思います。
(県医師会員・郡山市)
=次回掲載4月16日
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