日常生活に重大な影響
耳鼻咽喉(いんこう)科で扱うがんは、一般に「頭頸部(とうけいぶ)がん」と呼ばれ、全がんに占める割合が5.3%と少なく、あまり知られていないがんです。しかし、喉頭がんでは「声」、口腔(こうくう)がんでは「言葉・味」、咽頭がんでは「飲み込み」に障害が残り、日常生活に重大な影響を与える侮れないがんです。
【喉頭がんとは】頭頸部がんの特徴は何といっても、喫煙や飲酒との関係が深いことです。そのトップバッターは、喉頭がんです。
喉頭がん患者の男女比は10対1とされ、そのうち、男性患者の喫煙率は98.9%で、喫煙と喉頭がん発がんとの関係は明らかです。最近の20〜30代女性の喫煙率の増加により、今後、女性の喉頭がん患者の増加が危惧(きぐ)されています。
【早期の症状「声がれ」】
喉頭がんは全がんの2%であり、治癒率は75%と予後の良い、治癒しやすいがんです。特に早期のものは90%の治癒率であり、早期発見がとても重要です。
早期の主な症状は「声がれ」ですが、がんの発生する部位により、のどや飲み込んだときの違和感といった症状もあります。「声がれ」の症状は風邪として見過ごされてしまいがちです。「声がれ」が2週間すぎても続くときには、がんだけではなく、声帯ポリープや声帯の麻痺(まひ)など何らかの喉頭の病気が見つかることが多く、耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
「声がれ」の診断では、喉頭ファイバースコープでの検査が行われますが、この検査に使われるファイバーは直径が3ミリと胃カメラに比べてとても細いため、体への負担が少なく、受診したその日に行うことができる迅速な検査です。
病院での検査を怖がることなく、安心して受診していただきたいものです。
(県医師会員・福島市)
=次回掲載4月30日
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