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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 38 〕 三田正行 医師    
【 白血病(下) 】
「完治」目標に進む研究

 【白血病の診断と分類】白血病が疑われるときは、骨髄液で異常細胞の種類や染色体、遺伝子異常について調べます。白血病細胞の種類はさまざまで染色体の異常部位や遺伝子変異の型も人によって違います。分子生物学は急速に進歩し、白血病細胞にはいろいろな遺伝子変異があることが分かってきました。これまで白血病は顕微鏡で観察した白血病細胞の外見で分類されていましたが、最近は白血病細胞の遺伝子変異を基に分類されてきています。

 【急性白血病の治療】急性白血病では、従来と変わらず抗がん剤を組み合わせた治療で正常細胞も白血病細胞も無差別に破壊し、正常細胞の回復を助けます。抗がん剤治療だけで治癒が期待できる白血病は限られているので、再発が懸念される場合には造血幹細胞移植を考えます。

 【慢性骨髄性白血病の分子標的療法】慢性骨髄性白血病では、慢性期、移行期、急性転化期と進行し3〜6年で死に至りました。抗がん剤で白血病細胞を減らす治療やインターフェロン療法の効果は限られ、造血幹細胞移植だけが治癒の可能性がありました。ところが慢性骨髄性白血病の異常遺伝子BCR―ABLが産生するチロシンキナーゼは白血病細胞を増やす働きをすることが分かり、BCR―ABLを標的にしたチロシンキナーゼ阻害薬が開発されました。2001年に治療薬として認可され、慢性骨髄性白血病の7年生存率が86%と改善し多くの人は普通の生活を送れるようになっています。しかし、内服治療をやめると再発する問題や価格が高いことが難点です。

 【完治を目指した今後の課題】白血病の治療目標は完治です。白血病幹細胞だけにある特別の分子を発見し、その分子に作用して白血病幹細胞を根絶できるような治療法を確立することにあります。そのためには、研究開発への支援が必須であるとともに血液専門医やスタッフの育成と治療設備の整備も重要な課題となっています。 
(県医師会員・白河市)
=次回掲載9月3日


 



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