福島県が全市に「認知症対応薬局」開設 早期治療へ体制強化へ

 

 認知症に関する相談などに応じる「認知症対応薬局」の整備を進める県は28日、新年度に県内全13市への開設が完了すると発表した。県は本年度から同薬局の運用を始め、6市98薬局に開設されている。新年度に7市54薬局が加わり、認知症予防や早期治療に向けた体制が強化される。4月から順次業務が始まる。

 対応薬局では、薬剤師らが患者の言動の変化や家族への聞き取りなどから認知症の初期症状を捉え、医療機関の受診などを勧める。患者や家族と接する機会の多い「かかりつけ薬局」への開設を増やし、早期回復を地域で支える環境を構築する。

 県は2020年までに、県内に約900カ所ある薬局のうち200カ所程度に開設する。開設に向け、薬剤師を対象とした研修会で認知症に関する専門的な知識を指導する。県によると、対応薬局を開設した結果、認知症や認知症予備群の患者を見つけ、早期治療につながったケースもある。また薬剤師が地域包括支援センターなどと連携し、認知症と思われる患者への服薬指導を行うなどの成果も報告されている。

 認知症は団塊の世代が75歳以上となる25年に、高齢者の5人に1人がなると予想されている。早期発見で治療を開始すれば、症状の進行を遅らせる効果もあるとの指摘がある。対応薬局は本年度、福島、伊達、郡山、会津若松、喜多方、いわきの6市で始まった。