健康増進に薬用作物 オタネニンジンとエゴマ、福島県が生産支援

福島県は本年度から、健康効果が期待されるオタネニンジン(御種人参)とエゴマを活用し、「食」の面から県民の健康増進を図る。「菜食健美」と銘打ち、生産振興と消費拡大を柱に3年計画で各種施策を展開。栽培面積日本一を目標に数量を確保し、飲食店や直売所と連携した需要の掘り起こし、家庭向けレシピの普及などを通じて薬用作物の定着を目指す。
本県は急性心筋梗塞の死亡率やメタボリック症候群に該当した県民の割合(メタボ率)が全国でも高く、健康指標の改善が課題となっている。エゴマは種子から採れるえごま油に体内で合成できない脂肪酸の一種「α(アルファ)―リノレン酸」が多く含まれ、動脈硬化など生活習慣病の予防効果が見込める。オタネニンジンは薬用人参や朝鮮人参と呼ばれる植物の和名で、古来、漢方薬として珍重されている。
生産振興では、経営の規模拡大に必要な資機材の導入補助、会津地方の在来種から選抜したオタネニンジンの品種「かいしゅうさん」の増殖、効率的な育苗技術の確立などに取り組む。
消費拡大では、オタネニンジンは栽培期間5年以上が良品とされる中、天ぷらなどに適した2~3年ものを使ったレシピを考案、家庭向け料理講習会などで紹介し、新たな食用需要を掘り起こす。エゴマは県内事業者がドレッシングやスイーツなどの各商品を積極的に開発しており、情報発信などを検討する。
県によると、2017(平成29)年の栽培面積は本県がいずれも全国2位。長野県がトップのオタネニンジンは、県内では会津地方を中心とした27戸が約6ヘクタールで栽培、収穫量は約9トンに上る。エゴマは北海道が栽培面積トップ。本県の生産戸数は県内全域464戸、栽培面積は約60.2ヘクタール、収穫量約25.3トン。収穫量はいずれも本県が日本一だが、県は安定した生産体制の構築や耕作放棄地の解消を見据え、栽培面積拡大を進める。
既に平田村や磐梯町などが薬用作物の産地化に向けた栽培に着手している。こうした動きを踏まえ、県は「薬用作物の効果に目を向けて食べてもらう機会を増やすことで、地域資源の活用や食から始める健康づくりにつなげたい」(園芸課)としている。
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