【健康長寿・地域ぐるみ(4)】広まらない運動習慣...試行錯誤続く

 

 5月29日、「チャレンジデー」と題した住民総参加型のスポーツイベントが全国各地で展開された。午前0時から午後9時の間に、15分以上のスポーツに取り組んでもらう。住民の健康増進などを目的に1983(昭和58)年にカナダで始まり、日本では93年から笹川スポーツ財団がコーディネーターとなって毎年開催されている。県内では今年、伊達市と南会津町で行われ、住民が思い思いに汗を流した。

 チャレンジデー

 伊達市がチャレンジデーに参加を始めたのは、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から2年後の2013(平成25)年。「原発事故直後は、放射線の健康影響を巡る不安から子どもたちの屋外活動が激減した。チャレンジデーに参加すれば、市民の健康づくりを進めるとともに、『福島は元気だ』と広く発信できるのではないかと考えた」。健康づくりを長く担当した市職員の長沢弘美さん(55)は当時を振り返る。

 南会津町は今年で3回目の参加。体育館などで健康教室を開こうとしても、移動手段のない高齢の町民は参加できない。高齢化に伴うこうした問題に直面していた時、場所を問わないチャレンジデーの有効性に目を付けたという。「ラジオ体操やウオーキングなど、身近な運動を広めたいと思った」と担当者は話す。

 このチャレンジデーに、全市町村が5年連続で参加した県が東北地方にある。本県と同様、生活習慣病による死亡率の高さが大きな課題になっている秋田県だ。

 市町村が各企業に協力を呼び掛けるなど熱心に活動し、秋田県総人口約100万人に対し、約70万2000人の参加を達成した。「『健康寿命日本一』を掲げている秋田県にとって、大変素晴らしいイベントとなり定着してきた」。秋田県体育協会はそう報告している。

 一方、県内の参加率は伊達市が28.2%、南会津町は39.1%。チャレンジデーでは同規模の市町村と参加率を競うが、県内2市町はいずれも対戦相手を下回った。本県ではチャレンジデーが全県的なイベントにはなっておらず、それに匹敵する県民運動も展開されていないのが実情だ。

 月1回推進の日

 地道な取り組みは続いている。伊達市は毎月の最終水曜日を市版のチャレンジデーと定め、市民に運動を促している。同市スポーツ振興公社の吉川博事務局長(64)は「毎月の『チャレンジデー』を基本として、運動を習慣化していってほしい」と語る。

 地域住民の健康づくりを後押しする効果的な取り組みを巡り、行政側の試行錯誤は今後も続く。=第7部地域ぐるみ・おわり