【なぜ?減塩】幼少から摂取「過剰」 高血圧...深刻な病気誘因

 

 「塩ひかえています うまいけどスープ残します」。そんなメッセージが記載された「スープ残しますカード」が、会津若松市のラーメン提供店14店舗に置かれている。来店客が食後にどんぶりの横にカードを添えれば、「ラーメンはおいしかったけれど、食塩摂取量を気にして残しました」との気持ちを店側に伝えることができる。

 カード設置の取り組みは2018(平成30)年2月から、同市保育所連合会や県栄養士会会津支部などでつくる「会津若松市食育ネットワーク」と市が進めている。「ラーメンはおいしく食べてほしいが、食べ方についても考えてもらいたい」と市の担当者は語る。

 県内で「減塩」の取り組みが広がりつつある。健康指標がほかの都道府県と比べて低水準にある本県で、食塩の過剰摂取を見直すことは大きな意義がある。

 塩分の過剰摂取は血圧上昇の原因となる。高血圧になると、心筋梗塞や脳卒中などの深刻な病気を発症する可能性が高まる。日本人の死因別の年齢調整死亡率(2015年)によると、本県の急性心筋梗塞の死亡率は都道府県でワースト1位で、脳梗塞は男性がワースト7位、女子がワースト5位だ。

 県民の1日当たりの食塩摂取量の平均(2016年)は男性11.9グラム、女性9.9グラムで、男性で8グラム、女性で7グラムに抑えようとの国の目標を大きく上回り、男女とも都道府県で2番目に多い。

 減塩を進めるのに、子どもの頃からの習慣付けの重要性を指摘する声がある。

 会津若松市は会津大と協力し、市内の子どもたちの食塩摂取源となっている食品を調査した。小学生は「(しょうゆなどの)調味料」「めんスープ(麺類の汁)」「みそ汁」が摂取源の上位にあり、家庭の食事内容が強く影響していることがデータから裏付けられた。市は「児童・生徒ともに、小さい頃から、習慣的に過剰に食塩を摂取していることが推測される」と分析する。

 各家庭での日々の食事の内容が、「次世代の減塩」実現の鍵を握る。