「だし活」や食事改善...先進的な取り組み報告 福島・減塩サミット

 
左から菅野一代会長、五十嵐祐子室長、中村広美主幹

 福島市で22日開かれた「減塩サミット2019in福島」では、青森県がん・生活習慣病対策課の中村広美主幹と広南病院(仙台市)の五十嵐祐子栄養管理部室長、福島県食生活改善推進連絡協議会の菅野一代会長が、それぞれ減塩の先進的な取り組みを報告した。

 【青森県がん・生活習慣病対策課 中村広美主幹】

 ◆「だし活」推進、商品も開発

 青森県の平均寿命は全国ワースト1位。要因の一つは高血圧で、食塩摂取が関与している。県の計画では1日の食塩摂取量目標値は8グラムだが、成人の平均値は10.5グラム(2016年)で、県民の約7割が上回った。

 減塩に向けて始めたのが「だし活」。だしのうま味で味をしっかりさせ、塩分を控える。県産食材でだし活を進めたが、だしを取るのは手間がかかる。家庭で簡単に使える「だし商品」を開発。スーパーで販売し、レシピ集も配布している。

 県内ラーメン店など200店のスープ塩分調査も実施。塩分濃度と重量を調査した結果、塩分濃度は普通だが、スープ量が多かった。つまりスープを飲む量が多く食塩摂取量が増える実態があった。スープを飲む量を減らすよう啓発した。

 【仙台市・広南病院栄養管理部 五十嵐祐子室長】

 ◆若年層の食事改善開始

 広南病院は脳神経疾患の専門病院。栄養管理部は脳卒中患者の栄養指導・管理を行っている。脳卒中は高齢者の病気と思われがちだが、近年は生活習慣の変化で若年層(49歳以下)の発症増加が懸念されている。

 そこで始めたのが「食事改善プロジェクト」。若年性の脳卒中は食事や生活習慣が大きく影響しており、食生活から予防することが大切だ。働き盛りの脳卒中は、その方の人生や家族の生活を一変しかねない。

 減塩料理の実演など分かりやすい予防も心掛けている。保育園で予防セミナーを開き、保護者を通して家族の生活習慣の是正にもつなげた。「宮城のうまいもの」と「減塩料理」を組み合わせたレシピの配布や、減塩レシピ本の出版など発信に力を入れていく。

 【県食生活改善推進連絡協議会 菅野一代会長】

 ◆啓発へ家庭訪問や講座

 家庭訪問や講座などを通じてバランスの取れた食事と減塩の普及啓発に取り組んでいる。本県では、震災と原発事故後の避難生活の長期化から核家族化が進み、世代ごとに食生活のバランスが偏っている。特徴に応じた取り組みが必要だ。

 高齢者世代では残った野菜をまとめて鍋に入れて煮込んだ簡単スープなどで野菜を補い、忙しく運動不足な働き手世代では既製品を買う際に塩分量の表記を見る習慣をつける。妊婦を含む若い世代では、子ども時代から健康的な食事を意識してもらうことで減塩につなげることが有効だ。

 「私たちの健康は私たちの手で」というスローガンに基づき、乳幼児から高齢者まで全ての年代の人と一緒に実践していきたい。