喜多方市が「買い物リハビリ」事業 スーパー内で体操や栄養指導

 
本番同様に専用のカートなどを押して買い物する利用者らに付き添い、開所に向けて準備を進める武藤さん(右)=昨年12月、リオン・ドール喜多方西店

 スーパーが健康長寿の通いの場に―。喜多方市は今月末から、お年寄りに買い物を楽しみながら体を動かしてもらう「買い物リハビリ」事業をスタートする。参加者がスーパー内の介護事業所で健康チェックや体操に取り組んだり、スーパーで買い物を楽しんだりして「頭と体」の健康増進につなげる。高齢化率の高まりを受けた取り組みで、市によると福島県内初。「買い物難民」の解消なども狙った新しい介護予防策として注目される。

 「買い物は面白い。楽しみながらみんなで続けられると思う」。昨年12月20日、喜多方市字押切南のリオン・ドール喜多方西店内で行われた買い物リハビリ事業の練習で、体験した女性(84)から好評の声が上がった。

 事業は、同店内に設けられた介護事業所「ウェルボックス」(喜多方市)で、参加者が作業療法士に健康への不安を相談したり、体幹や下半身を強化する体操に取り組むほか、食事指導を受ける。引き続きスーパーの売り場へ向かい、買い物を体験する。商品を取るために手を伸ばしたり、しゃがんだりする動作はリハビリに欠かせない動き。買い物を通し楽しみながら運動できるほか、献立を考えたり、購入金額を計算するなどして認知機能の活性化も期待できる。

 練習で参加者と一緒に店内を歩いた施設管理者の武藤竜也さん(43)は「運動や栄養指導を行い、スーパーで買い物もすることで、より介護予防の効果が高まる」と手応えをにじませ、「買い物リハビリで健康な人を増やしていきたい」と意気込む。

 市が介護予防に力を入れる背景には上昇傾向を見せる高齢化と要介護認定率にある。市の高齢化率は36.8%(昨年8月1日現在)と県内13市の中で高水準。2017年時点の要介護認定率も19.7%で3番目。市の担当者は「高齢者の閉じこもりや買い物難民の解消にもつなげたい」と事業の効果に期待を込める。

 事業の対象は要支援1、2の認定者や、要支援になる可能性がある人。月、水、金曜の午前9時からと、午後1時30分から開催。希望者には自宅送迎もある。利用は週1回からで、料金は月1482円から。