生活習慣、健康的に 福島でシンポジウム、先進県の事例紹介

 
健康長寿日本一に向けて意見を交わしたパネル討論。パネリストを務めた(右から)鎌田氏、竹之下理事長、内堀知事と、五阿弥社長(手前)

 日本一の健康長寿県を目指し、福島民友新聞社は9日、福島市で「県民が健康になるためのシンポジウム2020」を開いた。長野県を健康先進県に導いた鎌田實諏訪中央病院名誉院長は基調講演で、野菜とタンパク質を多く摂取することや減塩、運動などの重要性を挙げ、「長野県でできたことは福島でもできる。生活習慣をちょっと変える行動変容が大切」と提案した。

 長野県は、平均寿命や要介護度2未満にならない期間「健康寿命」が全国上位となるなど健康先進県として知られる。こうした実践事例を本県の健康づくりに生かそうとシンポジウムを企画し、約280人が来場した。福島民友新聞社の創刊125周年事業。

 鎌田氏は野菜が大切な理由について「野菜の中にある抗酸化力が動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞は間違いなく減る」と指摘。厚生労働省が推奨する1日の野菜目標摂取量(350グラム以上)を食べる工夫として野菜ジュースや野菜が多いみそ汁を挙げ、「福島の人が福島の野菜をたくさん食べることが農家の応援になり、復興につながる」と述べた。

 また、フレイル(虚弱)防止に向けた筋肉強化として「鎌田式」のスクワットやかかと落としを紹介。ボランティア活動など社会参加する取り組みも重要だとし、「最後の最後まで人生を豊かに生きる。意識が変われば健康長寿日本一になれる」と強調した。

 講演後は、福島民友新聞社の五阿弥宏安社長を進行役に鎌田氏、内堀雅雄知事、竹之下誠一福島医大理事長・学長がパネル討論を行った。

 健康寿命日本一に向け内堀知事は「キーワードは手軽に始めて続ける」と述べ、野菜から食べるベジ・ファーストや歩きやすい靴や服装で出勤するウオークビズなどの取り組みを紹介。竹之下理事長は「特定機能病院としては日本で初めて治療から予防へという宣言をした」とし、医療知識を生かした市民講座に引き続き力を入れる考えを示した。