減塩習慣化へ「薄味好きに」 福島県分析、意識高め普及つなげる

 

 県は、県内企業の社員食堂で提供するみそ汁の食塩量を利用者に告知せずに段階的に減らす減塩事業の結果から、「普段から減塩を意識した食生活を送っている人ほど、(減塩したみそ汁の)味に対する好みが変化しない傾向にあった」という分析結果を発表した。結果を検証した桜の聖母短大生活科学科食物栄養専攻の斎藤瑛介助教(36)は「減塩を習慣化するためには、薄味を好きになるような取り組みが求められる」とした。

 塩分の取り過ぎは、高血圧のリスクを高め、心血管疾患などの発症にもつながる。メタボリック症候群の原因の一つともされ、県は減塩に向けた取り組みを進めている。本県は、メタボリック症候群に該当する県民の割合が全国ワースト4位で健康指標の低迷が続く。

 健康長寿実現へ、県は減塩を活動の柱に据える。本年度は、県内企業の社員食堂で提供する食事に使う食塩の量を段階的に減らす取り組みを本格的に始めた。

 県によると、東北村田製作所郡山事業所(郡山市)で昨年10月に行った取り組みでは、社員に事前通知せずに、みそ汁の塩分濃度を1%から4週間かけて0.7%に減量。アンケートでは味についての評価を7段階で採点してもらい、減塩についての意識も尋ねた。4度実施したアンケートの回収率は9割を超えた。

 味の好みを日ごろの減塩意識ごとにみると、減塩思考が高い人は、味への好みがほぼ変わらなかったが、減塩の意識が低い人は味に対する評価も下がる結果となった。

 斎藤助教は、減塩が習慣化している人ほど「薄味」に慣れている傾向があると分析。「一人一人の減塩に対する意識の高まりが、減塩普及の一歩になる」と語った。