「お達者度」伸び低調 福島県平均・男性17.46年、女性20.61年

 

 県は23日、65歳を過ぎて要介護度2以上にならず、自立して健康に過ごせる年数を算出した健康寿命の指標「お達者度」の2019年分を公表した。平均は男性17.46年、女性20.61年。直近の16年分と比較すると、男性は0.32年、女性は0.30年伸びたが、県は「健康長寿県を目指すにはもっと伸ばす必要がある」と指摘。今後公表される全国平均を下回るとみられ、さらなる健康づくりの取り組みが求められる。

 県と共にお達者度を算定した福島医大健康増進センターによると、全国的にお達者度は伸びているという。センターは本県の結果について、平均余命が延びたほか、高血圧の発症が減少傾向にあることを要因に挙げた。一方、全国平均を下回ったことについて県は「生活習慣病のリスクとなるメタボリックシンドロームの割合や脳梗塞、心筋梗塞の死亡率が高いため」と分析した。

 人口1万2000人以上の県内市町村別でみると、お達者度が最も長かったのは男性が猪苗代町の18.65年、女性が南会津町の21.68年。自治体による介護予防や健康指導などの効果が表れたとみられる。最も短かったのは男女とも西郷村で、男性16.23年、女性19.53年。女性はいわき市も同じだった。西郷村の担当者は「男性の平均余命がほかの自治体と比較して短く、お達者度にも影響しているのではないか」としている。

 県がお達者度と併せて公表した65歳時の平均余命は、男性が19.12年、女性が23.98年で、男女とも全国平均(男性19.83年、女性24.63年)を下回った。

 お達者度は県が13、16年に算定している。市町村別にみると、男性は郡山、田村、南相馬、下郷、矢吹の5市町で、女性は郡山、田村、南相馬、西会津、中島、古殿、川内、大熊の8市町村で伸びた。

 センターの大平哲也副センター長は「お達者度が伸びた一方、男女とも『不健康な期間』が変わっておらず、いい傾向にはある」と指摘。県は「民間企業の健康づくりのノウハウを生かしたプログラムを市町村に活用してもらう事業などを通して自治体の支援に取り組んでいく」(健康づくり推進課)とした。

 市町村に対策促す 県、課題解析し支援

 県が公表した健康寿命の指標「お達者度」は、市町村が住民の健康状態を把握し、健康づくりに向けた効果的な対策を考えるきっかけにするのが狙いだ。

 女性のお達者度が21.68年で最長となった南会津町。高齢者サロンを開催するなど介護予防や健康指導に力を入れている。町の担当者は「今回の結果を町全体に広め、健康増進の動機にしたい」と話した。18.65年と男性で最長だった猪苗代町。担当者は「グラウンドゴルフや庭仕事、農作業に熱心な男性が多い」と説明し、住民が体を動かしたり、生きがいを持って過ごしていることが、お達者度の長さにつながっていると推察した。

 お達者度の公表は2013年分、16年分に続いて19年分で3回目。男女でお達者度が伸び続けているのは郡山、田村、南相馬の3市。郡山市はがん検診の普及と受診率向上に取り組んでおり、担当者は「受診率が上がっている。市民に浸透していることが数字にも表れているのではないか」とその理由を分析した。

 一方、男女でお達者度が最も短かった西郷村。村は生活習慣病予防に注力する構えで、担当者は「40歳からの特定健診を受けていない人に受診勧奨や意向調査を進める」とし、村民意識の把握に努める考えだ。

 県は健康寿命を延ばすため、食、運動、社会参加の3本柱で健康づくり事業を進めている。健康づくり推進課は「健康指標に影響を与える課題を解析し、助言や事業評価を通して市町村を支援していく」とした。