成長期、高脂肪に偏った食習慣だと...将来「隠れ肥満」引き起こす

 

 福島医大病態制御薬理医学講座の前島裕子特任教授(43)と下村健寿主任教授(50)は、成長期に揚げ物やファストフード、スナック菓子など高脂肪に偏った食習慣をすると将来、見た目は太っていないのに内臓脂肪が多い「隠れ肥満」を引き起こすとの研究結果をまとめた。隠れ肥満は肥満より脳梗塞などの危険性が高まるとのデータもあり、成長期のバランス良い食習慣の重要性を示した形だ。

 日本肥満学会は体格指数(BMI)が25以上を肥満としており、隠れ肥満はBMIが25未満で、体脂肪が男性20%以上、女性30%以上の状態を指す。

 肥満と同様に、隠れ肥満もメタボリック症候群や脳梗塞、心筋梗塞の危険性を高める。しかし見た目で肥満と分かりにくいため、健康だと思い込んで疾患の発見が遅れ、死亡率が高くなることが問題になっているという。

 前島氏は、離乳直後の実験用動物ラットに高脂肪食を2カ月間与え続け、普通食を与えたラットと健康状態を比較した。その結果、体重は同じなのに、高脂肪食を与えたラットの方が内臓脂肪や皮下脂肪が約2倍となった。血糖値の上昇や血糖を下げるインスリンの効果も低下し、隠れ肥満になっていることを発見した。

 ラットの寿命は2~3年程度で、高脂肪食を与えた2カ月間を人間に換算すると、成長期の幼児期から高校生の期間に当たるという。前島氏は「隠れ肥満は若い女性に多く近年、注目されている。肥満の状態はBMIだけでは判断できないため、子どもの食習慣を見直すきっかけにしてほしい」と指摘する。

 研究結果は国際的な専門誌「ニュートリション&メタボリズム」に掲載された。下村氏は「隠れ肥満のモデルをラットでつくることができる。世界中で活用して研究が進めば、隠れ肥満で病気となって落とす命を救える可能性がある」と意義を語った。