舌小帯

 

 舌の運動などに影響

 Q もうすぐ5歳になる男の子ですが、以前から発音が何となく舌たらずな気がしていましたが、直りません。舌を前に出させると、先の方がハート形に割れてしまい、上唇をうまくなめることができません。このまま様子をみていて良いでしょうか?

 A 舌を上に持ち上げると、裏側に舌小帯と呼ばれる白い筋(すじ)のようなものが舌の根元についています。この舌小帯が短かかったり舌の先端近くまで伸びていたりして、舌の運動などを制限してしまう状態を舌小帯強直症あるいは舌小帯短縮症といいます。舌小帯強直症は、重度なものからわずかなものまであり、哺乳障害をきたす重度レベルでは、生後まもなく外科処置が行われます。中度レベルまでの舌小帯強直症は、1〜3歳頃までは経過を見ることが多いのですが、舌の運動範囲が制限されるため、咀嚼(そしゃく)、嚥下、発音などに支障を来たすことが少なくありません。問題としては、舌を上に持ち上げる動きを伴うサ・タ・ナ・ラ行の発音が不明瞭になったり、大きな声ではっきりしゃべるのが苦手というような症状が出ることが多いようです。また、舌の動きの影響で、食べ物の好き嫌いが極端になる場合や、食べ方が「流し込み食べ」になるなど食生活へ影響する可能性も考えられ、歯磨きを嫌がる、嘔吐(おうと)しやすいなどの問題を生じる場合もあります。4〜5歳頃になっても、(1)舌を上あごにつけにくい(2)舌で上唇をうまくなめられない(3)舌を前に突き出すとハート形に先端がくびれる、などの症状がある場合は、かかりつけ歯科医にご相談ください。もし、機能障害が明らかであれば、舌小帯伸展術の適応となりますので手術時期の検討を含めて対応を考える必要があるでしょう。

(県歯科医師会)