顎関節症

 

 咬合異常など原因

 あごの関節は下顎(かがく)骨と頭蓋(ずがい)の間にあり、左右に一つずつ対になっています。人間は食物のかみ切りと磨りつぶしの両方ができるように、下顎は上下に運動するだけでなく、左右や前後にも動きます。そのため、顎関節は下顎骨のこれらの非常に複雑な運動を行えるように、特殊な構造になっています。

 顎関節症は、顎関節に原因があって、口を開けにくい、口を開けたり閉じたりすると痛みがある、顎関節で音がするなどの症状が表れます。

 顎関節症の原因としては種々挙げられますが、その主なものは咬合(こうごう)異常、再発性脱臼、顎関節の外傷などです。そのうちでも咬合異常は特に重要で、次のようなときに起こりやすいのです。(1)かみ合わせ運動のときに、上下の歯のわずかな部分が他の多くの歯より早くあたってしまうとき(早期接触)(2)高さが合っていなかったり、かみ合わせの面の形態が良くないインレー、金属冠、ブリッジ、入れ歯などを入れた後(3)歯が過度に磨り減って、上下のあごの間隔が短くなってしまったとき(4)反射的な歯の食いしばりや歯ぎしり、などです。

 治療法としては、対症的に痛みや炎症を抑える薬や筋肉の緊張を和らげる薬などを内服します。また、原因となっている咬合異常をなくすように、かみ合わせの調整や正しいかみ方の練習、不適当な補綴(ほてい)物を作り直したり、上下のあごの間隔を正しくする装置(咬合挙上副子)などを使用したりします。

 詳しくはかかりつけ歯科医にご相談ください。

(県歯科医師会)