かみ合わせによる歯痛

 

 歯周組織の炎症や吸収

 一般的な歯痛は、虫歯や歯周病などの炎症で起こることが多いのですが、そのほかに、かみ合わせが原因で起こる「咬合(こうごう)性外傷」の場合があります。

 咬合性外傷とは、歯周組織(歯根膜や歯槽骨などの歯の周りの組織)が過度のかみ合わせの力を受けることによって、炎症や吸収を起こす病変です。

 原因として「歯ぎしり」や「くいしばり」、銀歯などの詰め物やかぶせ物によるかみ合わせの不具合などがありますが、これらがあるからといって必ずしも咬合性外傷になるわけではありません。

 歯周組織が健全であればその防御機構が働き、発症は抑えられます。しかし、加齢による歯槽骨の骨密度の減少など歯周組織の変化や歯周病によってその機能が低下すると発症しやすく、そのため若年者より成人の方がリスクは高いといえます。

 咬合性外傷の治療としては、その原因となっている過度なかみ合わせの歯を少しだけ削って調整を行います。これによりかみ合わせのバランスが改善されれば歯槽骨の再生が起こり治癒します。しかし、歯周病を伴っている場合はこれだけで治ることは少なく、歯周病の治療も必要となります。

 症状としては、しみる、歯が揺れる、食べ物が詰まりやすいなど虫歯や歯周病と似ていることから、これらとの鑑別診断も重要です。もし、かんだとき痛みがある、歯が揺れたり浮いたりするなどの症状がありましたら早めにかかりつけ歯科医に相談することをお勧めします。

(県歯科医師会)