最先端治療と最善の治療

 

 歯科医との相談が大切

 近年、情報社会の発達で、最先端の歯科治療法を目にする機会も増えてきました。失われた歯や、歯周組織(歯を支えている骨や歯肉など)を特殊な材料や薬剤を用いて再建、再生させる技術で、例えば、人工歯根(インプラント)、歯槽骨再生療法などです。

 かけがえのない歯や歯周組織が失われてしまったとき、これらの技術は起死回生の手段となり素晴らしい効果を期待できる場合もあります。ただ注意すべき点は、万能ではないということです。

 例えば、患者さんの中には歯がぐらぐらで、歯の周りの骨がほとんどないような状態でインプラントを希望される方もいらっしゃいますが、成功率が低く手術が不可能なケースもあります。このような場合は、インプラントより従来法のブリッジや、取り外し式の入れ歯の方が、後々の融通性も利きやすく最善の歯科治療法といえることが多いのです。

 ただ、個々人によって何を望まれるかはさまざまです。予後に不安があってもインプラントをやってみたい場合、その方にとって最善かつ最先端の方法なのです。

 つまり、患者さんの望むものが最善であり、歯科医が主観的に考えた方法と必ずしも一致するとは限りません。予後や費用、治療期間、メリットなどを考慮し、歯科医とよく相談し自分に合った最善の方法を見つけましょう。

(県歯科医師会)