静脈内鎮静法

 

 治療の心理的負担を軽く

 ドキドキ緊張する、不快なことを想像してしまう、などの感情をなくし、もっと楽な感覚で歯科の治療を受けたいと思う人はいるはずです。

 不安や忍耐など負のイメージにさらされ続けると、私たちの身体は悲鳴を上げ、生理的限界を超えます。自律神経のバランスが崩れ、緊張のあまり過呼吸になったり、さらには神経性ショックや偶発症を起こすことにもつながります。

 「静脈内鎮静法」とは、気持ちを落ち着かせ、安心・安全を目的とする精神鎮静法の一つです。緊張を解きストレスを取り除くことで、合併症の予防にもつながります。

 方法は、特定の鎮静薬を静脈からの点滴で用います。同時に、血圧、心拍数、呼吸数、酸素飽和度などを観察します。

 その作用には、健忘効果、有害反射を抑える、血圧を下げるなどの効果があり、リラックス状態になります。眠気を感じても意識は保たれ、受け答えもできます。効き目が早く、副作用も少ないです。

 ただし、治療後、眠気が残ったり、ふらついたりすることがあるので、車や自転車での帰宅は原則禁止です。

 適応は、歯科恐怖症、過換気症候群、嘔吐(おうと)反射、高血圧の人などです。しかし、意思の疎通が難しい人や重度の基礎疾患がある人、薬のアレルギーがある人は注意が必要です。

 静脈内鎮静法の利用は、患者の心理的負担を軽くし、より快適な環境で歯科治療を受けるための全身管理の一つといえます。(県歯科医師会)