白いむし歯(急性う蝕)

 

 若年者特有、発見に遅れ

 「むし歯」を思い描いたとき、黒い色をした穴を思い浮かべると思いますが、実は、もともと「むし歯」は黒い色ではなく白い色をしています。

 歯の表面のエナメル質にできた初期のむし歯の色ははじめは白ですが、歯の中の象牙質まで広がる時期に、むし歯菌とは別の色素産生菌と呼ばれる菌がむし歯の穴にすみつき、それによってだんだんむし歯に色が付き始めます。

 特に、生え始めてから時間がそれほどたっていない歯はまだやわらかく、唾液中の石灰化イオンによりだんだん硬化するのですが、それが完了する数年間はむし歯になりやすい時期です。この「歯がやわらかい時期」にできたむし歯は進行が特に早く、黒色色素酸性菌が黒い色をつくる前に大きくなり、色は付いていなくとも、歯の中の象牙質の部分がやわらかくなり器具で触るとぽろぽろと崩れる状態になることがあります。歯が固まっていない若年者特有のむし歯「急性う蝕(しょく)」といいます。

 白いむし歯「急性う蝕」は、一番後方の臼歯が生えたばかりの12歳から16歳ぐらいに多く見られ、進行が早いため神経が腐食して痛みが出る前に、中でかなり大きくなってしまい、痛みはないのに神経までむし歯が進んだ状態になることが多々あります。

 色も白く、痛みも出にくく発見が遅れやすい急性う蝕ですが、神経が腐食前であれば、やわらかい部分を全部取らずに温存して固めること(石灰化作用)が可能な場合があります。(県歯科医師会)