帯状疱疹と歯痛

 

 歯髄炎と似た症状現れる

 帯状疱疹(ほうしん)は、子どものころにかかった水ぼうそう(水痘)が治った後、水痘ウイルスが三叉(さんさ)神経や脊髄神経の神経節に潜伏し、それが長い期間を経て、病気やストレス、抵抗力の低下をきっかけに再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に症状が現れる疾患です。その際、発疹や激しい痛みを伴うことが知られています。

 問題は、三叉神経(目の下、上顎、下顎)に起きた帯状疱疹です。歯に原因がないにもかかわらず、歯髄炎(歯の神経が炎症を起こした状態)と同様の症状が現れます。口の中に水泡が形成されていれば、帯状疱疹を疑うこともできますが、そのような症状がない場合診断はとても困難です。よって、待機的診断(経過観察など)とするなど、慎重な判断が必要とされます。

 通常、この強い痛みが出た翌日くらいに、顔面に帯状疱疹の発疹が現れます。帯状疱疹の出現で、歯の治療の継続が困難になり、中断を余儀なくされることもしばしばあります。初期の段階なら、抗ウイルス剤の服用が効果的ですが、激しい痛みが出た段階では、効き目がないこともあります。

 前述の通り、歯に原因がなくとも歯髄炎と同様の痛みが出ることが一般的ですが、帯状疱疹と同時に、痛んでもおかしくない歯に痛みが出ている場合もあるので、その場合、帯状疱疹の治療後に継続的な歯の治療は必要です。

 帯状疱疹の予防には、疲れやストレスをためないことなど、健康に留意し規則正しい生活を心掛けましょう。(県歯科医師会)