「歯根のむし歯」 高齢者に多く治療困難

 

 私たち歯科医師会が中心となって「80歳で20本以上、自分の歯を保とう」という8020運動を推進してきました。それが浸透して8020達成者も増えてきています。

 ところが高齢者の多くには、残っている歯の根の部分にむし歯が見られます。歯は歯ぐきの外に出ている部分(歯冠)と歯ぐきの中に隠れている部分(歯根)に分けられますが、今回は高齢者に多い歯根のむし歯(根面う蝕(しょく))について述べていきます。

 一般的に歯ぐきは年齢とともにやせていきます。また歯周病が進行すると、歯根が歯ぐきから出てきます。歯根は歯冠と比べて軟らかくざらざらしているので、むし歯にかかりやすく、急速かつ広範囲に進みます。

 歯冠のむし歯の多くが、外から縦の方向に進むのに対して、根面う蝕は歯と歯ぐきの境界に現れ、歯の根の周りをぐるりと囲むように進みます。

 根面う蝕は歯の神経にも近づくため、場合によっては神経の治療が必要になることもあり、私たち歯科医としても治療しにくいむし歯です。

 むし歯の予防は歯みがき、糖分の適正摂取、そしてフッ化物による歯の質の強化の3本柱が基本であり、根面う蝕の予防も同様です。

 一般的に高齢者が根面う蝕になりやすいので、この三つの予防法を組み合わせて、健全なお口の中の状態を保ちましょう。

 (県歯科医師会)