「顎の仕組み」 主食の違いで異なる進化

 

 人や動物は、主食の違いにより長い間に、食事がしやすいような顎の形と仕組みになりました。食物を取り込むときの顎の動き方で、食事のスタイルが変わります。

 例えば肉食動物は、顎の関節のくぼみが深く、ちょうつがいの運動により、獲物をかみ切ります。草食動物は、それが平たんになり、顎を左右へ動かし、木の葉、木の実をすりつぶします。

 他の種では、関節が円筒形をしていて、前後の運動により、小さい生き物をからめ取ります。

 それに対して、人間の顎の関節は、どういう仕組みになっているのでしょう。

 顎とともに移動するクッションのようなものを支点として、顎に付くいろいろな筋肉の力により、下顎を開け、横にずらし、回転させるのに同調して、背中の骨を軸とした上顎の小さな開け閉め運動を行っています。

 このような仕組みを繰り返しながら、さらに細かく高度な顎の動きが可能になりました。その半面、作用が多機能になったため、不調が小さくとも、顎の動くリズムを乱します。

 環境が変わる中、生き残るために顎の仕組みを適応させた動物たちと、言葉、発声など、他の仕組みを併せ持っている人間―。

 両者の顎を比べてみると、面白さや興味が湧いてくると思いませんか。

(県歯科医師会)